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 香港大学の研究者らはこのほど、オミクロン株は気道での繁殖速度がデルタ株より70倍速いことを発見した。

 研究者らは15日、オミクロン株は気管支(気管と肺をつなぐ管)での繁殖速度がはるかに速く、わずか24時間だけで、デルタ株の2日間繁殖した分よりも多いと発表した。

 また、同研究によると、オミクロン株は肺では効果的に繁殖することが困難であり、新型コロナウイルスより10倍遅いことが分かった。これは、オミクロン株に感染すると風邪のような症状が現れるが、深刻な病気に発展する例が少ない理由となるかもしれない。

 同研究の責任者である陳志偉(ちん・ちい)博士は、この研究はオミクロン株がそれほど重症を引き起こさないことを示唆しているかもしれないが、伝播性が強いため、多くの人に感染することで、より多くの死亡につながる可能性があると警告している。

 陳氏はまた、「重要なことは、病状の深刻さはウイルスの繁殖能力だけではなく、感染に対する宿主の免疫反応によって決定されること。これはサイトカインストーム(cytokine storm)のような生まれつきの免疫システムの失調を引き起こす可能性がある」と強調した。

 イギリス(スコットランド)のセント・アンドルーズ大学の感染症研究者であるMuge Cevik氏は、香港の研究について、「私もこれは良いことか悪いことか簡単に答えられない。オミクロン株は肺での感染効率が悪いが、ウイルスの量が増えると免疫反応が低下する可能性がある」とし、「私が確定できるのは、オミクロン株は人々の間で迅速に広まり、最も厳しい措置を講じても制御できない可能性が高いということだ」と述べた。

(翻訳・吉原木子)