(Kimberley KitchingnのFacebookより)

 オーストラリア上院は1日、深刻な人権侵害を犯した個人や組織に制裁を課す人権侵害制裁法案を全会一致で可決した。2日には下院に送付して審議を行い、年内の施行を目指す。新疆ウイグル自治区などで人権侵害を繰り返す中国共産党を念頭に置いたものと見られている。

 人権侵害制裁法案は国際的に「マグニツキー法」とも呼ばれている。同法案が可決されれば、オーストラリア政府は人権侵害を行った個人や団体の資産を凍結し、入国を拒否することが可能となる。同法対象はサイバー攻撃を行う者や海外の汚職高官も含まれる。

 オーストラリア 上院外交委員会委員長、キンバリー・キッチング氏(労働党議員)は、この法案を積極的に推進した。同法案が可決された当日、「オーストラリアの上院で労働党、自由党、緑の党という、これほどまでに離れた主要政党が共に投票して、マグニツキー人権法を満場一致で可決した日として、人々は永遠にこの日を覚えるだろう」とツイートした。

 同法案の初期の提唱者の一人であるジェームズ・パターソン上院議員オーストラリア自由党国会議員は、「今こそ民主主義国家が反撃し、人権を侵害して国際ルールの秩序を変えようとする者に、真の個人的代償を支払わせる時だ」とし、「オーストラリアは人権を侵害し、腐敗した外国公務員の不正な利益の避難所にはならない」と述べた。

 同氏はまた、この法案はオーストラリアをいじめることで我々を変えようとする人々に非常に強いメッセージを送っていると述べた。オーストラリアは誇り高き自由民主主義国家であり、国際舞台で我々の利益と価値観を守るとしている。

 ロイター通信によると、現行の制裁法は2011年に制定した。国連の制裁とは別に、同国が人権侵害行為を行なっていると認めた国に対して自主的に行うもので、商品・サービスの貿易活動や商業活動の関与制限、対象となった個人や団体に資産凍結を含む制裁、渡航禁止令などを課すことができる。上院の公式サイトなどによると、今回の修正法案では、重大な人権侵害や虐待、汚職、サイバー事件に対処できるよう制裁内容を強化している。アメリカで制定された人権問題による経済制裁を定めた、いわゆる「マグニツキー法」を踏襲している。

(翻訳・吉原木子)