オーストリアのセバスティアン・クルツ前首相は2日、中道右派与党・国民党の党首を含むすべてのポストを辞任し、政界を引退すると表明した。クルツ氏は10月、汚職疑惑を受けて首相を辞任した。欧州の若手政治家の代表格だったクルツ氏だが、弱冠35歳で政界を去ることになった。
クルツ氏はツイートで、「この決断をするのは簡単ではない。軽い気持ちで決断したわけではないが、苦痛もなく離れた。私と一緒にオーストリアのために働いてくれたすべての人に感謝する」と述べた。
オーストリアのメディアの報道によると、カール・ネハンメル内務大臣がクルツ氏の後任として就任するとのこと。
今年10月、反汚職捜査官は、オーストリア首相官邸、オーストリア国民党本部などを捜索した。検察当局は、クルツ氏とその政治的友人たちが、メディアで不正な世論調査を広め、そのために公的資金を流用した疑いがあるとしている。これによって、クルツ氏は贈収賄、えこひいきなどの重大な罪に問われた。
圧力を受けたクルツ氏は、10月9日に首相の辞任を発表した。オーストリア議会は11月中旬、クルツ氏の免責特権を取り消した。オーストリア検察当局は、クルツ氏をはじめとする9人と3つの当局が汚職捜査を受けていると明らかにした。
クルツは2日の声明の中で、「自分は聖人ではないが、犯罪者でもない。私は個人的には法廷に出る日を楽しみにしており、そこで容疑が虚偽であることを証明できる」と述べた。
クルツ氏は、外相や首相などを歴任してきたこの10年間は「100%の情熱をもって職務に当たってきた」とした一方、汚職疑惑の追及が厳しくなった最近数カ月で「その情熱は小さくなった」と認めた。クルツ氏は先週、息子が誕生したばかり。今後は家族との時間を大事にしたいという。汚職については改めて潔白を主張した。
(翻訳・吉原木子)