中国重慶市の学生がこのほど、地元の停職された医療従事者に「内部」HPVワクチン(注)でお金を騙し取られたことを明らかにした。学生は3回目の接種を受けようとした時にその看護師が「失踪」したことがわかった。同じような事件が現地では多発しており、300人近くもの被害者が出ている。
中国メディアの報道によると、重慶市のある病院の周という看護師が「上から配分されたワクチンだ」と主張し、呂という学生に4,500元(約8万円)以上の費用を請求し、HPVワクチンを2回接種した。
呂さんが「(昨年)11月6日にお金を支払い、今年の4月28日に1回目の接種を受けた」と語った。しかし、1回目の接種は相手の事務所で私的に、2回目は周看護師の車の中で行った。3回目を受けようとした時に、相手とは連絡が取れなくなったのだ。
同じようなことは、呂さんだけでなく、300人近くが周看護師からHPVワクチンの予防接種を受け、中には1回も受けていない人もいたという。
同事件が暴露された後、話題となったため、中国国家衛生健康委員会と刑事当局が調査に介入した。その後、病院側は周看護師が4月にすでに停職処分されていたと声明を発表した。病院側が責任を持ち、注射を受けていない人に対して、詐欺事件として返金し、注射を受けた人には、事件が解決されてから対応する。
中国では偽ワクチン事件が頻発しており、中でも生理食塩水やミネラルウォーターを使ってワクチンを偽装していたことが問題になっている。報道によると、容疑者はまずインターネットでワクチンの注射方法や包装様式を検索し、予備充填注射器(プレフィルドシリンジの針)を購入し、生理食塩水やミネラルウォーターを材料にして偽ワクチンを作成するとのこと。今回の偽ワクチンだけでも58,000本にのぼり、江蘇省、北京市、山東省などの市場にすでに流入しており、その金額は約1,800万元(約20億円)を超える。
注:HPVワクチンは、ヒトパピローマウイルスワクチン、子宮頸癌ワクチンとも呼ばれ、特定のヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus:HPV)の持続感染を予防するワクチンだ。年齢に応じて、2回または3回の接種が必要です。
(翻訳・徳永木里子)