「中華圏のアカデミー賞」と呼ばれる台湾の映画賞「金馬奨(Golden Horse Awards)」の授賞式が11月27日、台北の国父紀念館で開催され、香港の民主化運動を記録した『時代革命(Revolution of Our Times)』が最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した。授賞式を欠席したキウィ・チョウ(周冠威、Kiwi Chow)監督は、授賞式に寄せた動画メッセージで、「良心と正義を持ち、香港のために涙を流した香港人」に同作を捧げると述べた。
監督は香港のキウィ・チョウ氏だが、香港では劇場未公開。タイトルは民主化運動のスローガンから採られている。152分のドキュメンタリーで、2019年6月から約1年かけて撮影されたという。
司会者が受賞者を発表した時、会場は10秒以上拍手喝采し、「香港頑張れ」と叫ぶ人もいた。プレゼンター、金馬奨受賞者である陳湘琪(チェン・シアンチー)氏は、「受賞作品のチームはこの場に来られない」と涙ながらに語った。
チョウ監督は動画メッセージを通して広東語で受賞の感想を分かち合い、スピーチの間、何度も声を詰まらせて声が出なかった。彼はまず、台湾と金馬奨に感謝し、映画の最後に「香港人製作」と書かれているように、良心と正義を持ち、香港のために涙を流してくれた香港人に同作を捧げると述べた。
『時代革命』は2019年ー2020年香港民主化デモ(反送中)を背景に、リーダーのいない運動の記録を、7つの異なるデモグループの目を通して描いたドキュメンタリーである。2019年7月1日の立法会占拠、7月21日の元朗襲擊事件、11月の香港理工大学衝突など、反送中運動中の重要な出来事を取り上げ、2020年に香港国家安全維持法(国安法)が可決されたことで締めくくった。
全編約2年間にわたる撮影と制作はすべて秘密裏に行われていた。2021年7月、『時代革命』はカンヌ国際映画祭閉幕日にサプライズ上映されて世界的な話題となった。カンヌ後、東京で10月30日から11月7日まで開催した国際映画祭「第22回東京フィルメックス」で、内容が伏せられていた最終日の特別上映作品として、初の上映となった。登場するインタビュー対象者のほとんどは匿名で、制作チームもチョウ監督を除いて匿名となっている。
(翻訳・徳永木里子)