新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)の感染が広がる中国湖北省武漢市の状況を外部に伝え、昨年5月に上海で逮捕され、同年末に懲役4年の実刑判決を受けた市民記者の張展氏(女、37)の健康状態が悪化していることに、米国などが深い懸念を示したことに続き、ドイツ政府も16日に外交ルートを通じて張氏の即時釈放を呼び掛けた。張氏の家族は現在、彼女の医療保釈を申請している。
ドイツのニュース番組「ターゲスシャウ」は16日、ドイツ連邦政府も危篤に陥っている張氏が保釈できるよう努力していると報じた。ドイツ外務省は、在中ドイツ大使館がすでに中国外交部に対し交渉を行い、直ちに張氏の釈放を求めていることをドイツ公共放送連盟に表明した。
8月初旬、刑務所側は張氏の命が危険にさらされていることを家族に知らせた。張氏の母親は10月29日のビデオ面会で、「張氏は病膏肓(やまいこうこう)に入っている状態だ」と語った。張氏への支援を訴えている英国在住の人権活動家、王剣虹(おうけんこう)氏は15日の朝、張展の母親は上海女子刑務所に行き、医療保釈の申請書を提出したとツイートした。刑務所の予防対策として、書類は48時間待って消毒してから刑務所の管理部門に送られる必要があるため、刑務所側は家族の医療仮釈放申請書を未だに受け取っていないという。
2020年の初め、張氏はロックダウンされた中国湖北省武漢市で、新型コロナウイルスの感染状況を取材して、ソーシャルメディアに投稿した。同年5月に上海で逮捕され、12月28日に「社会秩序騒乱」罪で懲役4年の判決を受けた。張氏は一貫して無罪を主張しており、逮捕された時点からハンガーストライキを続けている。
「張展は身長177センチだが、いまの体重は40キロにも満たない。彼女は長くは生きられないだろう。近づいてくる冬を越せるかもわからない」。張展氏の兄の張挙氏は先月30日にツイッターに投稿し、国際社会が張氏の状況に関心を持つよう訴えた。
これを受け、米国務省は8日、市民記者の張氏の健康状態が悪化していることに深い懸念を示すとともに、釈放を求めた。
同省のプライス報道官は記者団に対し「われわれは、張氏の拘束の専断性と同氏への不当な扱いに深い懸念をたびたび示してきた。中国には無条件での即時釈放を改めて求める」と語った。
国際NGO「国境なき記者団」は8日、張氏に「勇気賞」を与え、「武漢で何が起きているのか誰もわからないときに、生命の危険を顧みず現地に向かった。彼女は英雄だ」と指摘。「中国当局は張氏の罪を取り消し、人道的観点から解放すべきだ」と呼び掛けた。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは4日、張氏をすぐに釈放し、適切な医療を受けさせるよう求めた。
(翻訳・徳永木里子)