(ネットより)

 中国吉林省の吉林刑務所に服役中の北朝鮮から中国に越境後、窃盗や強盗事件を起こした朱賢健(男、39)が10月18日夜に脱獄した。今も行方が分からないことから、吉林省政府はこの脱獄囚を捕まえた人には15万元(約255万円)、情報提供者には10万元(約170万円)の報奨金を出すことを公表した。

 長春市公安局は9日に「懸賞通知」を発令し、懸賞金を15万元から20万元(約350万円)に引き上げた。情報提供で公安当局が朱賢健と認定した場合、2万元(約35万円)を奨励する。手がかりを提供して犯人の逮捕や直接逮捕に協力した場合、20万元を奨励する。故意に報告を怠ったり、受刑者を匿ったりした場合、法的責任を追及するとしている。

 朱賢健ははもともと北朝鮮の咸鏡北道の炭鉱労働者で、2013年7月21日の真夜中過ぎに豆満江の対岸にある中国吉林省の延辺朝鮮族自治州図們市の村へ向かうため、泳いで川を渡って密入国した。その後、数時間にわたり複数の民家への侵入を繰り返し、金銭や携帯電話、靴や衣服を盗んだという。3軒目の民家では高齢の女性が同受刑者を発見し、大声で助けを求めたという。その後、タクシーで逃走したが、怪しまれ、通報され、逮捕された。2014年に懲役11年3カ月の判決を受けたが、2017年と2020年に減刑され、脱獄時点で、刑期は1年あまりだったという。

 吉林省政府が15万元もの高額な報奨金を出すのは、朱が自暴自棄になって、付近住民の家に押し入って、再び強盗などの挙に出るのを恐れているためだとみられる。

 中国メディアは脱獄の動機について、「朱は北朝鮮に強制送還されるのを恐れていた。帰れば、死刑になるかもしれないからだ」などと報じた。

 実際、送還された脱北者に対する最も厳しい罰則は、死刑と銃殺刑である。朱は北朝鮮で特殊部隊の兵士として働いていたと言われており、吉林省当局は先に「この人物は非常に危険だ」と発表した。

 このことはネット上で話題となった。

 「少なくとも、北朝鮮に帰るよりも、まだ中国の刑務所にいた方が居心地はよかったのだろう」
 「もともとこのことを忘れていたが、今は怖く感じる」
 「吉林刑務所は飾り物ではないか」
 「今後、吉林刑務所から脱獄者が出ても、もうおかしいとは思わない」

(翻訳・徳永木里子)