孫正義氏が率いるソフトバンクグループは8日、純資産がわずか3カ月間で約540億ドル(約6.1兆円)減少し、1840億ドル(約20.8兆円)になったと発表した。これは中国のテクノロジー業界の混乱に起因している。中国当局がテクノロジー企業に対する支配を強化しているため、ソフトバンクグループの投資が全面的に縮小おり、中でもソフトバンクが4分の1近くの株式を保有しているアリババへの投資案件は、現在、ビジネス上の痛手となっている。
孫正義氏は東京の記者会見で、「今は中国のハイテク株にとって厳しい試練の時であり、我々は嵐の真っ只中にいる」と語った。わずか1年前、ソフトバンクの純資産の60%近くをアリババの株式が占めていたが、アリババの株価がピーク時から半減したため、現在では28%にまで落ち込んでいる。これに対して、孫正義氏は、ソフトバンクは他の国での投資展開に注力すると述べた。これは、ソフトバンクが今年5月に200億米ドル以上の自社株買いを完了した後のことである。しかし、投資家が中国投資へのリスクに対する懸念から、ソフトバンクの株価は今年に入ってからも大幅に下落している。
つい先日、米アーク・インベストメント・マネジメント(投資会社)のキャシー・ウッド氏は、資金を持って中国に進出したことで注目を集めたが、中国の不動産セクターは1989年のバブル崩壊前の日本のようになっていると、業界に警鐘を鳴らしていた。彼女に先立って、金融界の大物ジョージ・ソロス氏も、ブラックストーン・グループの中国への投資を「悲劇的な過ち」と酷評していた。評論家の何旭(か・きょく)氏は、多くの外国人投資家がいまだに懲りずに、中国共産党とのつながりが利益につながると信じ、中国政府による業界再編は一時的なものだと考えているようだと分析した。実際、中国共産党主導の投資はねずみ講のようなもので、投資が破綻する前日まで、中国共産党が描いた大きなパイに誘われて人々は輪の中に入り、結局はお金を騙し取られていたのである。
(翻訳・吉原木子)