新駐日米大使ラーム・エマニュエル氏(Public domain, via Wikimedia Commons)

 米国上院外交委員会は3日、ラーム・エマニュエル氏の新駐日米大使への指名を承認した。エマニュエル氏は間もなく日本に赴任する。駐日米大使は、中国共産党(以下、中共)に対する日米連合を強化する能力を示すとともに、日本の台湾重視の姿勢をアピールする必要があると考えられる。

 ワシントンのシンクタンク、安全保障政策センター(CSP)の高級研究員グラント・ニューシャム氏によると、中共による地域的な軍事的脅威に直面している中、日米の防衛協力は特に重要であるという。

 「日本が駐日米大使に一番期待しているのは、米国による日本への安全保障を維持するために最善を尽くすことだ」「中共の脅威によって、日米関係がおおむね良好な状態にある今、このようなバランスを維持することは、日米双方にとっても、そしてアジア太平洋の安全保障にとっても理想的である。しかし、エマニュエル氏の強い個性をもってすれば、そのようなバランスが保たれるかどうかはわからない」とニューシャム氏が述べた。

 東京大学東洋文化研究所の佐橋亮准教授は、米中対立の新時代の到来に伴い、日米同盟が変わっていると指摘した。4月の日米首脳会談で発表された首脳共同宣言から見ると、日米同盟は昔の安全保障レベルから、経済的な安全・安心に関する協力にまで拡大している。

 エマニュエル氏は10月20日に開催された上院外交委員会の指名承認公聴会で、日本における大使の仕事の核心は中共に対抗することであり、日本の防衛費の増加は日米同盟に不可欠であると述べた。

 これに対し、ニューシャム氏は、中共の脅威はますます深刻になっており、特に台湾海峡の状況は非常に不安定であるため、おそらくエマニュエル氏のより厳しい態度は、日本が防衛費や軍事力を大幅に増加させ、台湾への公的かつ強力な支援を示すことを納得させることができるとした。さらに重要なことは、台湾海峡で有事が発生した場合に米軍が台湾の防衛を支援するのに十分な能力があることを明確にすることができるとも述べた。

 一方、佐橋氏は、日本は台湾海峡問題の深刻さに気付いており、駐日米大使が防衛予算で日本に圧力をかけたら、日米関係が悪化する可能性があると考えた。大使は、日本の動きを注意深く観察し、既存の協力体制に基づきコミュニケーションを強め、台湾への支援を徐々に強化し、インド太平洋戦略全体を強化する必要があると述べた。

(翻訳・徳永木里子)