中国共産党(以下、中共)の官営メディア「中国報道網」は9日、「出産率急減に対応し、共産党員は3子女を産まなければならない」という主旨の論評を載せたことが物議をかもしている。
評論記事では命令口調で、「すべての共産党員と幹部は結婚しなければならない」「いかなる共産党員も非婚や無子女のための弁明をしてはならず、子女を1・2人だけ産むことにいかなる弁明もしてはならない」と主張した。
また、「全ての中国共産党員は、国家の人口成長に対する義務と責任を負わなければならず、3子女政策にしたがって行動しなければならない」と強調した。
さらに、「年齢や健康問題により子どもを産めない党員は、傍観するのではなく、家族と友人たちが積極的に3子女をもつことができるよう積極的に教育・案内・支援しなければならない」と書かれた。
香港のサウスチャイナモーニングポストは「多くのウェイボーユーザーたちは、出産しない自由が明記された法律を用いて、この論評にショックと怒りを表した」と報道した。
多くの否定的なコメントが寄せられたため、この記事は中国報道網と、転載した捜狐(そうふ)網、鳳凰網(フェニックス・ウェブサイト)、騰訊網(テンセント)からすでに削除された。
アナリストによると、中国人は中共の朝令暮改(ちょうれいぼかい、法令等がすぐに変更されて一定しないこと)の政策モデルに飽き飽きしており、これらの新しい政策は効果がないだけでなく、大量の嘲笑を招いているという。データによると、2017年から、中国の出生率は上昇せず、逆に減少している。今年11月に発表された公式データによると、中国での昨年の出生率は1,000人あたり8.5人で、70年以上ぶりの低さを記録し、高齢化が深刻な日本よりも低くなっているという。
専門家は、現在の中国の若者が子供を産みたがらないのは、産みたくないのではなく、経済的余裕がないのだと述べた。若者たちにとって、「住宅・教育・社会保障」という3つの「山」を負担するだけで精一杯であるからだ。
(翻訳・吉原木子)