米インターネットサービス大手ヤフー(Yahoo)は、中国におけるビジネスおよび法的環境がますます厳しくなっていることを踏まえ、1日より中国から同社の全サービスが利用できなくなると発表した。
ヤフーの公式サイトには、「2021年11月1日より、ユーザーは中国からヤフーの製品やサービスを利用できなくなりますが、これは世界の他の地域におけるヤフーの製品やサービスには影響しません。今後ともご愛顧のほどよろしくお願いいたします」と書かれている。
AFP通信によると、ヤフーは、中国のビジネスおよび法的環境がますます厳しくなっていることを踏まえ、同決定を下したとのこと。
ヤフーが中国からの撤退を発表したと同時に、今年8月に中国共産党の全国人民代表大会(全人代)で可決された「個人情報保護法」も同日に施行された。同法では、企業が個人データを収集できる条件として、本人の同意を得なければならないこと、また、データを海外に移転する際のデータ保護のためのガイドラインが定められている。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、国際ビジネス・コンサルティング会社「FAOグローバル」の経営コンサルタントであるキャメロン・ジョンソン氏のコメントを報じた。同氏は、新たに導入されたプライバシーやデータセキュリティに関する規制により、中国で事業を展開する企業の不確実性やコンプライアンスコストが増大し、ビジネスリスクの増大に対処するよりも撤退を希望する企業もあると述べた。
同紙はまた、今回の撤退が象徴的なものであると指摘した。なぜなら、はすでに2013年から電子メールやニュースなどの中国における主要サービスを停止し始めていた。しかし、ヤフーの撤退は、中国の規制当局が今年に入ってからデータセキュリティ、プライバシー、インターネットコンテンツへの規制を強化し、外国企業が中国で事業を展開する際に直面する問題が大きくなっていることを示しているという。
(翻訳・徳永木里子)