中国の「ゼロコロナ政策」を実行している香港政府は1日から、政府機関、市場や病院などに入る際に、新型コロナウイルス追跡アプリの「安心出行(LeaveHomeSafe)」の使用を義務付けている。
香港政府は防疫対策の一環として、昨年11月16日から、ユーザーの行動履歴を保存するアプリ「安心出行」を配布している。しかし、多くの香港人がセキュリティやプライバシーの開示に懸念を抱いていることから、普及が進んでいない。
香港政府は1日、中国と同調するために、「安心出行」の使用規定を発表した。政府機関の建物やオフィスに入る前は、同アプリでQRコードをスキャンしなければならならず、代わりに名前や連絡先だけを記録することも禁止した。
実施初日には、深水埗(しんすいほ)の「北河街市場」の出入り口で「安心出行」のQRコードを多数掲示した。同アプリを持っていない年配者は、市場の出入り口で記録用紙に記入しなければならない。食物環境衛生(FEHD)のスタッフが、コードの使用や記録用紙の確認に立ち会った。
「使い方がわからないので、市場に入って食材を買えない」という年配者も多くいた。市場の調理済み食品コーナーのオーナーは、「お年寄りがアプリの使い方を知らないので、商売の売れ行きが良くない」と話した。
(翻訳・徳永木里子)