中国の代表的な医療専門家である鐘南山氏と張文宏氏の2人がこのほど、新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)の感染について正反対の判断を下した。
中国公式メディアの報道によると、10月30日、鐘氏は第3回中国医師公共福祉会議で、中国の局地的な地域で小規模なクラスターや個別の感染症例があったものの、それらは1カ月以内で非常に効果的にコントロールできたと述べた。コロナを短期間で完全に解決できないが、ワクチン接種を積極的に行なわければならない。今年の年末頃には、接種率が人口の8割以上に達する見込み。
同日、同じ会議に出席した張氏は、今後、たとえ中国と世界が予防接種を全部受けたとしても、人の集りを最小限にし、人の多い室内ではマスクを着用し、換気をよくするように心がけるべきだと述べた。
両者の発言がウェイボー(微博、Weibo)のホット検索ランキングに昇った。ネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられた。しかし、より統一された観点は、鐘氏が主張した「1カ月以内に流行を抑えられる」と「年末にワクチン接種率が8割達成できる」ことをまったく信じていないこと、また、当局の「都市や家を封鎖する」予防措置を頻繁に行っていることに嫌悪感を抱いていたことであった。
鐘氏は、公の場で「接種率が80%以上に達成できれば、集団免疫(注)ができる」と繰り返し発言している。
しかし、多くのネットユーザーはその発言に反対した。
「あなた(鐘氏)は、ワクチン接種率が80%以下であれば、集団免疫が形成されないと言った。感染者はすべてワクチンを接種していない人のはずだが、なぜワクチンを接種していた人が感染しているのか」
「雲南省瑞麗市(ずいれいし)の接種率は96%以上と言われている。専門家の話によると83%の接種で免疫バリアが確立されるとのことだが、なぜ流行が未だに収まらないのか」
より多くのネットユーザーが政府の防疫措置を批判した。
「鐘教授など、みな医学者で、科学の視点で、現在の政府の予防措置を変えるよう提案してほしい。1人が確認されただけで、広範囲に封鎖し、全市民の生活や経済に深刻な影響を与えることにならないように提案を!」
注:集団免疫、ある病原体に対して、人口の一定割合以上の人が免疫を持つと、感染患者が出ても、他の人に感染しにくくなることで、感染症が流行しなくなり、間接的に免疫を持たない人も感染から守られる。この状態を集団免疫と言い、社会全体が感染症から守られることになる。
(翻訳・徳永木里子)