趙州橋(Wikimedia Commons / wanghongliu CC BY-SA 3.0

 趙州橋は安済橋とも呼ばれており、中国河北省趙県の南にある「洨河」という川に架かっている古い橋だ。610年の隋王朝の時代に、李春という職人によって建設された。趙州橋は世界で最も古く、最も保存状態の良いシングルホールアーチ橋である。

 建設されてから1400年もの歳月のなか、趙州橋は10回の洪水、数多くの地震や戦争に見舞われたが奇跡的にそびえ立っている。

 唐王朝の玄宗皇帝の統治時代に、中書令(宰相に相当)の趙嘉貞は 「趙州橋銘」を記し、「石の使い方が絶妙だ」「隋時代の李春が残した特別な建造物で、人々は不思議に思った」と褒め称えた。

 1933年の冬、中国の有名な建築家である梁思成と莫宗江は河北省を訪問した。彼らは童謡に触発されて、地元の人々から「趙州橋」と呼ばれていた安済橋を再発見した。梁思成はそれを「中国建築界の奇跡」と呼んだ。

 

趙州橋の28個のアーチリング

 

 趙州橋は長さ50.82メートル、幅約9メートル、高さ7.23メートルもある。橋には1つの大アーチと4つの小アーチがある。大アーチの穴は、一般的な半円形ではなく、弓形であり、28個のアーチリングから構成されている。アーチリングは相互に影響を与えないように、1つずつ橋を支えている。また、橋の傾斜を緩やかにし、歩行者や馬車が通りやすいように作られている。

大アーチの両側には2つずつの小アーチがある。(Wikimedia Commons / crazlei CC BY 2.0

 大アーチの両側には2つずつの小アーチがある。このようにすることで石を使用を減らし、橋を軽くすることができるだけでなく、橋の穴を通る水の量を増やし、橋に対する洪水の影響を軽減することができる。また、アーチの上にアーチがあり、美しく見える。

趙州橋の欄干に彫刻されている龍。(YouTube / Screenshot)

 趙州橋は美しさと機能性の両方を兼ね備えている。橋全体のバランスがよく取れており、形や素材は周囲の景色と調和し、欄干は龍、動物、花、竹など精美な彫刻で装飾されている。

 イギリスの科学者ジョセフ・ニーダムは著書「中国の科学と文明」で次のように記している。「西洋では、アーチ橋は優れた建築物と見なされているが、傑出した中国の建築家李春は、優れたアーチ橋を610年の時点ですでに建築していた。」

(文・高天韵 / 翻訳・篤修)