アメリカ合衆国国務省(AgnosticPreachersKid, CC BY-SA 3.0 , ウィキメディア・コモンズ経由で)

 国連は1971年10月25日に第2758号決議案(アルバニア決議)を可決し、中国共産党(以下、中共)政権の国連での合法的議席を認めた。同日、中華民国代表は自ら国連からの脱退を宣言した。習近平氏は25日午前、中共政権の国連加盟50周年を記念して演説を行った。習近平主席が演説した直前の23日、米国務省は米台の高官が先週金曜日(15日)に会談し、台湾を国連に加盟させる方法を協議したという声明を発表した。

 米国はなぜ習近平主席の演説の前にこのような声明を出したのか?米国在住の学者の方偉(ほう・い)氏は、希望之声とのインタビューで、この声明を発表する米国務省のタイミングはその内容も含めて非常にセンシティブなものだったと語った。しかし、歴史的角度や現実上の意味で必然だったと言えるだろう。それは台湾を徐々に国家化していくという米国の政策を示したものである。台湾が中共に対抗する第1の防御線であるため、米国は中共による台湾弾圧の現実を傍観することも、台湾が中共に対する抵抗の最前線になることを期待することもできないので、このような事態になることは必然であったといる。

 トランプ政権からバイデン政権まで、米国の中共と台湾に対する扱いは、過去の政権に比べて大きく変化している。この点について、方偉氏は、「中共の本質は、今やはっきりと明らかにされており、米国は中共に対する幻想を捨て、中共を米国にとって破壊的な敵とさえ認識している。この時点で台湾は米国の先鋒になったわけである。今回の米国の動きは、実はとても画期的でありながら、現在の世界情勢では、ごく普通のことでもある。

 バイデン政権は、台湾への支持を繰り返し表明し、中共のいじめを非難してきしたが、それでも一部の議会議員からは、台湾に対する政策が明確でないこと、プロセスが遅いこと、中共への対応が慎重すぎることなどと批判されている。これに対して、方偉氏は、バイデン氏は確か慎重に前進しており、これはバイデン政権のスタイルであり、一種の局限でもある。バイデン氏は大胆に前進すべきだ。彼が大胆に前進すれば、中共は現実を受け入れるしかないだろう。一方、ゆっくり前進すれば、逆に中共はこれに呼応して抵抗力を蓄え続ける時間を与えることになる。この点でのトランプ氏は、すばやくやり、やれば既定の事実として築かれた。ヒューストンの中国総領事館が閉鎖されたことでさえ、中共は何の対策も打ち出せなかった。

 結論として、台湾の地位を正常化し、国家化を正常化するという米国の方向性は非常に明確であり、将来、台湾がNATOの一員になるなど、何らかの防衛システムに組み込まれる可能性だってあるのだと、方偉氏は考えている。

(翻訳・吉原木子)