国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは25日、中国が施行した香港国家安全維持法(国安法)によって、香港で人権団体が報復のリスクなしに自由に活動することが事実上不可能になったとし、香港にある2つの事務所を年末までに閉鎖すると発表した。
アムネスティはプレスリリースの中で、中国共産党政権が昨年6月30日に国安法を施行し、「国家分裂」「国家政権転覆」「テロ活動」「外国勢力と結託して国家安全を害する」の疑いがあるものを対象にしており、「国安法により作られた抑圧の環境と恒常的な不確実性により、どのような活動が犯罪と見なされるかがはっきりとしない」とし、「『国家安全保障』という言葉の広範で曖昧な定義は人権や、表現の自由、集会などを制限し、反対意見を抑え込む口実として恣意的に使われている」と指摘した。
アムネスティはまた、取り締まり強化で国安法に基づき今年に入り少なくとも35の団体が解散を余儀なくされたと指摘。
アグネス・カラマード事務局長は、「アムネスティが香港を離れることになっても、世界中の1,000万人を超える支援者の力によって、あらゆる場所で発生する人権侵害を終わらせるために協力し続けることができると信じている」と強調した。
アムネスティは、香港での人権教育を推進する香港事務所と、東アジア・東南アジア・太平洋地域での調査・宣伝活動などを行うアジア太平洋地域事務所の2つの事務所を持っている。地域事務所の仕事は将来、他の都市に移される。
(翻訳・徳永木里子)