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 中国の多くの省・市で電力制限政策が続いており、来年3月まで続く可能性があるとの情報もある。電力不足を解消するため、中国国家発展改革委員会は買取価格の上限を緩めると発表した。しかし、上限を引き上げたとしても、石炭の上げ幅を相殺することはできないと考えられる。

 報道によると、今年1月から9月までの間、石炭価格は前年同期比で約45%上昇した。7月から9月までのデータだけを見ると、年間増加幅は70%を超えている。

 報道では、A株に上場した火力発電会社14社は、第3期の業績予想がいずれも減収あるいは欠損となる可能性が高いという。純利益の下落の原因は、いずれも石炭価格の上昇によるものである。

 安信証券のアナリストである邵琳琳(しょう・りんりん)氏は、「電力価格の上限を引き上げることは、火力発電企業が石炭価格上昇の圧力を転嫁することに有利であり、特にエネルギー多消費事業者に石炭価格上昇の圧力を負担させ、火力発電企業の利益を確保することができる」と分析した。

 江蘇省蘇州地域では9月末から電力制限が始まり、中国で経営する台湾企業に様々な影響を与えている。江蘇省で自動車部品製造に従事する台湾企業の陳さんは中央通訊社に、「当初は10月後には緩和されると考えていたが、今では電力制限が常態化する可能性があると考えている」とし、「多くの業者が既に3月までの電力制限を覚悟している」と語った。

 陳さんはまた、「自分の工場は今のところ週4日稼働し、残りの3日は操業停止で、注文が安定しているが、電力制限の影響を受けて、生産能力が低下し、製品の歩留りも低下している。電気料金が値上げされる可能性もあり、絶えず生産コストが高くなっている。電力制限とその後の影響を概算すると、生産コストは約20%増加するだろう」と述べた。

 製造業のほか、繊維業界への影響も著しい。浙江省で紡績業を経営する台湾の楊さんは、「電力制限によって、生産能力が低下し、生産コストが明らかに高くなった。産業チェーンでは、1つの企業が値上がりすれば、下層の関連企業も値上がりする。結果的に、商品の値上がりは避けがたいことである」と述べた

(翻訳・吉原木子)