ロシアのプーチン大統領(Kremlin.ru, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons)

 ロシアのプーチン大統領は21日、ロシアのソチで開かれた「ヴァルダイ国際討論クラブ」の第18回年次総会のスピーチで、極左イデオロギーが欧米社会で様々な社会問題をもたらしていると指摘し、これは1917年、ロシアでレーニン主導の革命時に起きたことと変わらないと警鐘を鳴らしました。

 ウイキペディアの紹介によると、同クラブの主な目的は、国際的な知的プラットフォームとして、専門家、政治家などの間で開かれた意見交換を促進することであり、様々な分野の問題について先入観のない議論を行うことで、21世紀の世界秩序における主要な推移を予測し、長年にわたり、世界62カ国から成る国際科学コミュニティから900人以上の代表が出席しているそうです。

 多数の報道によると、プーチン大統領はスピーチの中で、「我々は、これまで”進歩の旗手”と見なされてきた国々で進行中のプロセスに驚きの目で見ている」と語り、左派が欧米にもたらした社会的・文化的影響に対し否定的な態度を示しました。

 欧米で一部の人が、自分たちの歴史を積極的に削除し、少数派の利益のために「逆差別」を行ったり、また家族、性別といった伝統的な概念を放棄するよう要求したりすることに対し、プーチン大統領は 「彼ら(西側諸国)にはこれを行う権利があり、我々はこれに関与しない」と明かす一方で、「私たちは自分たちの精神的価値観、歴史的伝統、多民族国家の文化に頼らなければならないと考えている」と語り、欧米の左派とは違う方向性を表明しました。

 欧米の左派が行っていることについて、プーチン大統領は「ロシアを乗っ取ったソビエト革命家たちが行ったことに似ている」と指摘し、「1917年の革命後、ボリシェヴィキ(ソビエト連邦共産党の前身)はマルクスとエンゲルスの教義に従って、政治・経済だけでなく既存のやり方や習慣を変えるとも言い、人間の道徳や健全な社会基盤となる古くからある価値観や宗教、人と人との関係を破壊し、家族を完全に否定し、愛する人に情報提供することを奨励する」と語り、極左の目的は正常な社会基盤を崩壊させることだと説明しました。

 そして「これらすべてが進歩だと宣言され、当時は世界中で広く支持され、今と同様、非常にうけていた。しかし、ボリシェヴィキは、自分たちの意見以外のものには絶対に寛容ではない」と警鐘を鳴らしました。

 同スピーチの中で、プーチン大統領は、ボリシェヴィキがかつて、財産を国有にするだけでなく、「女性の国有化」も進めようとしていたと共産主義の恐ろしさを明かしました。中国共産党の歴史の中で妻を交換することがありました。共産主義の最終目的はすべてを共有することで、結果、家庭は存在しなくなり、妻や夫を共有することにも違和感がないのでしょう。

(新時代Newsより転載)