(Gdp by Nick Youngson CC BY-SA 3.0 Pix4free.org)

 習近平政権の政策により、投資、輸出、消費の3本柱が崩壊し、縮小傾向にある中国経済に打撃を与えている。中国共産党(中共)の指導者層は、今年のGDP成長率目標の達成に自信満々で、景気刺激策を行わないことを示唆している。しかし、実際のところ楽観視できない。

 中国国家統計局が18日に発表したデータによると、今年第3四半期の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比4.9%となり、第1四半期の18.3%から13.4ポイント急減し、第2四半期の7.9%よりも大幅に下がり、その低下幅は多くの研究機関の予測を下回るものである。第4四半期のGDP成長率も弱く、最低成長率は3%まで下がると予測されている。つまり、中国の経済成長は第2四半期以降、急激に悪化している。一方で、中国のエネルギー危機は市場の予想を上回り、国際的な信用格付け機関は成長予測を引き下げた。

 また、公式発表されたデータによると、中国の対外債務残高は10四半期連続で増加し、約2兆7,000億米ドルと過去最高を記録しており、その結果、純外貨準備高(総外貨準備高から対外債務残高を差し引いたもの)が再び減少している。そして、このうち、1年以内に返済する短期対外債務は1.5兆ドルに達した。ICチップ、食料、エネルギー、原材料などの輸入はすべて外貨準備高に依存しており、広範な電力制限も外貨不足や発電用の石炭が十分に購入できないことが原因とされている。

 中国は輸入のために年間2兆ドル以上の資金を必要としているが、1年で1.5兆ドルの短期対外債務残高を返済しなければならないため、実は外貨準備高は十分ではない。外貨を稼げる海外輸出に問題があれば、中国の外貨準備高はすぐに影響される。

 中共当局は輸出入依存から脱却しようとして、内部経済循環を促進している。食料節約を提唱したのも、食料の輸入を減らして外貨の使用量を少なくすためである。これらの動きは外貨準備高の不足が大きな理由の一つである。

 さらに、公式データによると、中国の貿易黒字は70年で最も高く、モノの貿易でより多くの外貨を稼いでいるにもかかわらず、米国債の保有額は11年で最も低いで、ドル指数の上昇やドル以外の通貨の両替などの原因を除けば、資本が外国に逃げているとしか考えられない。

 習氏もこのことについて非常に悩んでいるはず。お金がなければ誰が従ってくれるのか?中共は「銃と刀」(軍隊と警察)で、国内の反体制派を排除し国民を圧制し、海外では威嚇に使っている。いずれもお金がかかることで、大企業や大金持ちの協力の下に「共同富裕」を図っている。

(翻訳・徳永木里子)