NATOのストルテンベルグ事務総長とノルウェー旗(MagnusFröderberg/ norden.org, CC BY 2.5 DK , via Wikimedia Commons)

 北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は18日、「中国の安全保障の脅威に対抗することがNATOの主な未来戦略」と宣言した。 NATOが、中国を新たな牽制対象にする意向を明確にし、新たにその使命を定めたと考える専門家もいる。

 ストルテンベルグ氏は同日、英紙フィナンシャル・タイムズとのインタビューで、中国共産党(以下、中共)長距離ミサイル、サイバー能力、新たな技術などを通じて脅威が強まっており、欧州の安全保障に影響を及ぼしている。北京の軍事野心に対抗することがNATOの新戦略の重要な一環になるだろうと述べた。

 ストルテンベルグ氏は、現在、中共が拡大を図る足跡は随所にみられ、アフリカや北極に対しインターネット上で影響力与え、南シナ海では近隣諸国を脅迫し、さらにオーストラリア、カナダ、リトアニア、ノルウェーなど「中共の要求に合わない」国をいじめていると述べた。中共は、多くの国の主要インフラに対して多額の投資を行っている。また、NATOのすべての同盟国に届くような長距離兵器の保有・製造も増加している。来年、スペイン・マドリッドで開催されるNATO首脳会議では、NATOの新戦略が中共への対応という課題を「徹底的に解決できる」と期待している。

 中共が軍事的野心を示し続ける中、米国は注目をインド太平洋地域に焦点を当て、NATOのすべての同盟国も軍事投資を増やしている。同氏は、今ではNATOがより重要な国際組織になっていると述べた。中共は現在、世界2位の防衛予算と世界最大の海軍を有し、破壊的な新技術に多額の投資を行っているが、これに対してNATOは「集団的防衛」を強化している。

 NATO軍隊の数はすでに3倍に拡大し、欧州連合(EU)との協力関係も前例のないレベルまでに引き上げおり、これは、中共の台頭に対応するためであると同氏が述べた。

 これに対して、「希望之声」の米国問題専門家である方偉氏は、「NATOのこの行動は非常に重要だ。NATOが1949年に設立以降、ロシアや東側の共産主義陣営への対抗・牽制を使命としてきた。その後、旧ソ連が崩壊したので、NATOの使命に巨大な疑問符が現れた。しかし、トランプ政権の後期に、NATOは、中共への対抗を含めて新たな使命を決めた。それは今や米国の最大の戦略目標であるだけに、NATOは米国のこのトップ戦略目標にも協力する。これはなぜ、イギリスやフランス、ドイツの軍艦が南シナ海を巡航しているのか、みんなで騒ぎを手伝ってくれていると思われているが、そうではない、これはNATOの新たな行動力の現れである」と分析した。

(翻訳・徳永木里子)