ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(Kremlin.ru, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons)

 台湾海峡の緊張が高まる中、中国共産党(中共)は、いわゆる台湾統一のための世論攻勢を国内外で同時に展開している。しかし、戦争の危機に瀕している際、ロシアのプーチン大統領は13日、台湾海峡問題に関して、北京が「武力を行使する必要はなく、経済力に頼ることで統一という目標を達成できる」と稀に公言した。外部からの分析によると、プーチン氏の言葉には隠された意味があるという。

 台湾メディア「信伝媒」は15日、「北風北大」と署名した記事を掲載した。記事の中では、中共の軍事史を振り返ると、過去100年間、ロシアの承認と支援を得られなかった軍事作戦は、いずれも惨敗に終わっており、この歴史的事実は北京当局も熟知していると指摘した。このような背景の下で、プーチン氏の発言した内容の意味が見えてくる。それはつまり、ロシアが台湾海峡での武力行使の問題で中共を支援するつもりはない、という遠回しな言い方である。

 また、プーチン氏は13日、南シナ海問題について、「南シナ海に確かに利益の衝突や矛盾があるが、ロシアの立場は事実上に立ち、つまり地域の大国の干渉を受けずに、地域内の各国に、国際法の基本的な準則に基づいて適切な対話を行う機会を提供することである」と述べた。

 海外中国語メディア「大紀元時報」の時事評論家の周暁輝氏は15日、プーチン氏が台湾海峡と南シナ海に対して、これまでの「中立」の姿勢を崩し、台湾海峡の問題でますます高まる中共の武力統一の可能性を無視し、奇妙な態度の変化を見せていると述べた。

 これまで兄弟のような関係にあったプーチン氏と習近平氏の2人が「友情の船」をひっくり返した背後の原因は、プーチン氏政権を覆すために、中共が長い間、ロシア共産党を密かに支援していることが、プーチン氏に知られたからではないかと、周氏は考えている。

(翻訳・徳永木里子)