香港の景色(イメージ:Estial/Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0

 香港で法輪功への迫害に反対するパレードが行われる中、同パレードへ参加するために香港を訪れた日本人男性が、日本に強制送還されるという事件が発生した。

 男性Aさんは4月25日、日本から香港へ向かう飛行機へと乗り込んだ。Aさんは中国の名門大学・上海交通大学を卒業した中国人であるが、現在は日本に帰化し、日本のメーカーで働く一般市民だ。

 日本の空港で出国手続きを終えたAさんが異変に気付いたのは、香港の空港で入国手続きをしている最中であったという。

 Aさんはその時の様子をこう語る。
「私は現在、日本のパスポートを持つ日本人です。そのため香港に到着した後、私は外国人ゲートで中国に入国するための手続きを始めたのですが、その最中に入国ゲートから異音がしたのです。何かがおかしいと思っていると、突然10人ほどの警察官に取り囲まれてしまいました」

 警察官らはAさんに対し、「香港の法律に基づきあなたの入国を拒否します」と告げた。Aさんは「何の法律の何条に根拠があるのか」と応じたが、警察官らは回答を拒否したという。

 Aさんは香港の日本領事館に助けを求めたが、香港の地で香港の法律による法的手続きが始まっている以上、日本側が手を出すことはできない。最終的にAさんは日本へ強制送還されることとなってしまった。

 26日に帰国したAさんは中国共産党への不信感をあらわにし次のように語った。
「日本人の一般市民である私をなぜ強制送還したのか。中国共産党は私の経歴を何らかの手段で調べていた可能性が考えられる。今回の件は日本の関係者にも報告したい」

 仕事の出張だけでなく、中国へ観光旅行する日本人も多い。しかし中国側は様々な理由をつけ、自分たちに都合が悪いと考えた人物に対しては実力行使に出ることもありうる。多くの日本人にとって、Aさんのケースは他人事ではないと認識するべきだろう。

(取材・項 内秀 / 記事作成・星野 明)