中国共産党(以下、中共)の元刑事は、偽の自白を得るためにウイグル人を拷問した様子を、自らの体験をもとに語り、新疆の強制収容所での拷問を「恐ろしい」「野蛮」と表現していた。CNNが5日に公開したインタビューである。
現在、欧州に亡命中の元中共刑事の蒋氏は、中国にいる家族を守るために本名を隠しながら、CNNの3時間に及ぶインタビューで、ウイグル人に対する組織的な拷問の実態を明らかにした。
蒋氏は、取り締まりを命じられたとき、テロリストが逮捕されていると聞かされたことを明かした。 数百人ものライフルを持った警察官が真夜中に新疆ウイグル自治区に突入し、一軒一軒家から人々を引きずり出し、手錠や頭巾をかけ、抵抗すれば銃殺すると脅した。しかし、すぐに逮捕された彼らがただ許されない普通の日常生活を送っている一般人であることを知った。
尋問の際には、男女を問わず、たとえ14歳の子供であっても、新しい収容者はみな殴られた。拷問の内容は、受刑者を固定するための金属製や木製の「老虎凳(ラァォフゥーダァン、注)」と呼ばれる椅子に手錠をかけられるもの、天井に吊るされるもの、性的暴力、電気ショック、寒中に水を浴びせるなど多岐にわたる。収容者らは何日も寝ることを許されず、水も食べ物も与えられないことが多かった。他にも、他の囚人に男性を強姦させたり、陰部を感電させるなどの拷問があった。
CNNによると、同元刑事の証言は独自に確認できないものだが、蒋氏が明かした複数の詳しい内容は、CNNが取材した2人のウイグル人被害者の体験と一致しているという。
現在、ノルウェー在住のAyup(音訳:アユップ)氏は、「2013年8月19日、カシュガル市の拘置所で、3~4人の刑務官が十数人の囚人に私を輪姦するよう指示した」と語った。
「刑務所の看守が私に下着を脱ぐように指示を出した。男たちが(彼は)弱すぎると私を揶揄した。翌日も屈辱は続き、刑務官から『楽しんでいるか』と聞かれた。これは私の心の傷だ、一生忘れない」
オランダに在住のOmir Bekali(音訳:オミールベカリ)氏は、クラマイ市の警察署の地下室で受けた迫害を語った。「彼らは私を老虎凳に座らせたり、吊るしたりして、木の松明や鉄の鞭で太ももと臀部を殴った。警察からテロ支援の自白を強要され、このような日々を収容所で8ヶ月間過ごした。最初に足に鎖をつけられたとき、地獄のような拷問が始まるとすぐに分かった。収容者たちの手足には重い鎖が付けられていて、腰を上げることができず、眠る時もそうだった」
米国務省の推計によると、2017年以降、新疆ウイグル自治区の収容所に収容されているウイグル人やその他の少数民族は200万人にも上る。米国やカナダなど多くの国は、中共が新疆でジェノサイド(大量虐殺)を行ったと宣言している。しかし、中共当局はそれを否定している。
注:老虎凳(ラァォフゥーダァン)、中国共産党の拷問。刑具の一種、細長い腰掛けに両足を伸ばして座らせ、膝を縄で固く縛りつけてから、足首の下にレンガを積んでいく。レンガが増すことにより苦痛が酷くなる。
(翻訳・吉原木子)