(ダライラマのオフィス/チベットの声ホームページより)

 チベット亡命政府のペンパ・ツェリン首相は4日、チベット仏教の精神的指導者ダライ・ラマ14世の「輪廻(りんね)転生」を干渉しようとする北京の試みが、政治的な動機によるものだと述べた。

 ダライ・ラマ14世の高齢化に伴い、米国政府と中国共産党(以下、中共)は輪廻転生の問題に関心を寄せている。米国政府は2020年の立法で、北京がダライ・ラマの輪廻転生に干渉することは、チベット人の宗教の自由を損なうものだと明言した。北京は長年にわたり、化身ラマを強制的に指定することでチベット人を支配しようとしてきた。さらに、中国国家宗教事務局が2007年に発表した「蔵傳仏教活仏転世管理辦法(訳:チベット仏教における活仏の転生管理法)」で、すべての活仏が僧院を通じて転生申請書を提出して初めて政府に公式認定されると規定している。

 ペンパ・ツェリン氏は4日、中央通訊社(CNA)との独占インタビューで、「輪廻転生は当事者のことであり、当事者にしか決める権利がない。どこで、どのように、いつ転生するかはダライ・ラマに委ねられている」と語った。

 同氏はまた、単なる政治的な目的でダライ・ラマの転生を干渉しようとする中共当局を批判した。ダライ・ラマが生きているにもかかわらず、北京の高官がダライ・ラマに会おうとしないのは、中共の矛盾した偽善的な姿勢を表していると指摘した。

 同氏は「中共がどうしてもダライ・ラマの転生を探したければ、まず仏教を学ぶべきだ。仏教を理解していないと、輪廻とは何かを理解できない」と述べ、無神論の中共当局が化身ラマを認定することをチベット人は許せないと強調した。

(翻訳・徳永木里子)