自民党総裁・岸田文雄氏(岸田氏のツイッターより)

 自民党の岸田文雄総裁は4日、衆参両院の首相指名選挙で第100代の内閣総理大臣に選出され、天皇陛下の任命儀式を終え、20人の主要閣僚を率いて岸田内閣が発足した。

 岸田氏は4日夜の記者会見で、同盟国、同志国と連携し、自由で開かれたインド太平洋を強力に推進し、外交・安全保障政策を展開し、わが国の領土、領海、領空、そして国民の生命、財産を断固として守るために、防衛力や海上保安能力の強化に取り組んでいくと述べた。

 台湾の「自由時報」の報道によると、親中派の二階俊博前自民党幹事長が率いる二階派は、政党の主要ポストを手に入れられなかった。石破茂氏が率いる石破派も、党の主要人事から完全に排除された。法務大臣を務めた古川禎久(よしひさ)氏は、石破派だったが、先日、脱退を表明した。

 岸田新政権の党役員人事の取り決めの観点から、今回の内閣は「経済安全保障内閣」と見なすことができる。新内閣は「経済安全保障」を重視しており、特段の事情がなければ、岸田氏が来年の国会に経済安全保障に関する法案を提出する可能性があるだろう。新たな安全保障関連法案(安保法案)改革の強度は、集団的自衛権の緩和を中心とした安倍政権の軍事的安保法案の見直しに劣らず、特に経済安全保障の面で、中国共産党(以下、中共)に対抗する路線もより具体的なものになるだろう。

 岸田氏は、4日夜に行われた首相就任後初の記者会見で、自由で開かれたインド太平洋地域の推進、防衛力・海上安全保障力の強化、拉致問題の早期解決に向けて、「日米同盟と世界からの信頼に基づいたタフな外交・安全保障政策を展開していく」と述べた。

 中共への対応について岸田氏は、北京当局との対話による関係構築の外交努力が不可欠になると述べた。しかし、東シナ海や南シナ海などで中共が武力で現状を変えようとしており、自由や法の支配などの価値観での対応も疑問視されていることを強調し、普遍的な価値観を共有する同盟国、同志国と協力し、「中国(中共)に言うべきことは言う」と指摘した。

 岸田氏は台湾海峡の安定とともに香港の民主化、新疆ウイグルの人権問題に「毅然(きぜん)と対応する」と強調。人権問題担当の首相補佐官を新設する考えを示している。

 中共の環太平洋パートナーシップ協定に関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)への加盟申請について、岸田氏は、「中共は国有企業に補助金を出し、知的財産権を十分に保護しておらず、CPTPPが求める高い基準を満たせるかどうかはまだ分からない」と述べた。

(翻訳・徳永木里子)