世界のジャーナリストが共同で調査報道を行うためのネットワーク「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)」は3日、600人以上のジャーナリストが1年以上にわたって行った調査の報告書「パンドラ文書」を公開した。このパンドラ文書で、世界中の大統領や首相、裁判官、軍幹部などが租税回避地(タックス・ヘイブン)のダミー企業を使って税金を回避していたことが明るみに出た。
イギリス領ヴァージン諸島、パナマ、キプロス、シンガポール、スイスにある14の金融会社から送られてきた約1,190万件の文書を分析することで、「パンドラ文書」は、35人の元・現職の国際的な政財界のリーダー、300人以上の政治家や公務員、そしてフォーブス億万長者ランキングに載っている130人の財務上の秘密を明らかにした。
同文書では、中国人民政治協商会議(政協)全国委員会副主席で香港の初代行政長官である董建華氏とその家族は、少なくとも72社のオフショア会社に関与していることが明らかになっている。また、彼の末っ子の董立新氏も、オフショア会社を通じて中国銀行の口座を開設していた。董建華氏の弟である董建成氏は、オフショア会社4社の銀行口座と豪邸2カ所を持っている。
董建華氏は江沢民に指名された香港の行政長官と言われている。1996年1月26日、香港特別行政区準備委員会が北京で設立された。150人を超える準備委員会のメンバーの中に入っていた江沢民主席(当時)は、董氏とだけ握手を交わした。同年12月に行われた香港の行政長官選挙で董氏が当選した。
香港の伝記作家で、芸術発展局文学ユニットの元委員長である寒山碧氏は、「中国のすべての大手企業はほとんど政府と結託している、香港の状況も同じだ。商人は政府と何らかの関係がないと、まったく儲からないのだ。本格的に調査を続ければ、江派の一部の人たちが暴露されるだろう」と述べた。
(翻訳・徳永木里子)