華為(ファーウェイ)技術有限公司の副会長である孟晩舟(もう・ばんしゅう)氏は帰国後、中国共産党公式メディアに大々的に宣伝されたほか、「民族英雄」として中国の学校の授業で紹介された。
孟晩舟事件は、「愛国の教材」となっている。江西省贛西(かんせい)科学技術職業学院のホームページによると、同学院の政治思想教育部は9月26日、生徒の愛国心(ナショナリズム)をさらに増強するため、孟晩舟氏の帰国の動画を見せ、「カナダが孟晩舟を無断押収する原因を深く分析せよ」という宿題を生徒たちに出した。これは生徒たちの正しい世界観、人生観、価値観を樹立させることができると説明している。
また、山東省鄒平市(すうへいし)第二実験小学校の5年8組で、「孟晩舟は誰か」「彼女は誰に拘束されたのか」「彼女はなぜ拘束されたのか」「彼女はどうやって助かったのか」「孟晩舟事件は何を教えてくれたのか」「小学生として、あなたは未来にどのような展望をしているのか」などの質問を含め、「孟晩舟事件が我々に与えた啓示」などをテーマとする宿題が出された。
これに対し、新唐人テレビの時事評論番組『世界の十字路』の司会者である唐浩(とう・こう)氏は、「孟晩舟氏が中国に帰国したことが、『党が再び勝利した』『党が人民を率いて、米帝の野心を破った』といった愛国宣伝の題材になったことは、意外なことではない。一方、孟氏が享受している特権や、国と党への忠誠心の無さなどについては、公式メディアは一切報道していない」とコメントした。
英国の中国系作家である馬建則(ば・けんそく)氏は「孟晩舟事件は政治的ジョークであり、中国共産党は完全に事実を歪曲している」と批判し、「インターネット監視、ナショナリズムの洗脳が成功したら、子供たちは本当のことを知ることができなくなってしまう」と懸念を表した。
(翻訳編集・吉原木子)