中国共産党（以下、中共）政権が建国72周年を大々的に祝う中、習近平氏は「孫文を見習おう」と提唱した。中国国営通信社である新華社は6日、『習近平総書記のお言葉を真剣に学習し、孫文をどのように見習うかを勉強せよ』というタイトルの記事を公開した。同記事は、孫文を見習おうと提唱する習氏のスピーチを掲載した。
分析によると、政権発足を祝う大型連休において、中共は内政・外交ともに行き詰まっている。公安部門の有力幹部2名孫力軍と傅政華が相次いで失脚し、中共の内部闘争が白熱し始めた。一方、中共軍用機による台湾への威嚇は多くの国から非難された。中国国営放送である中央人民広播電台は番組で「遵義会議は死活に関るターニングポイント」という物々しいことに言及している。こういった状況において、孫文を見習おうと提唱する習氏は、統一戦線を目的としているようだが、かえってしくじっている。
1905年、孫文は黄興らの革命家と共に東京で中国同盟会を結成し、「満洲駆逐、中華回復、民国建国、地権平等」を政治綱領に定めた。1912年、孫文の指導による辛亥革命（しんがいかくめい）は清国を滅亡させた結果、アジアにおいて史上初の共和制国家である中華民国が誕生した。
歴史学者の辛灝年（しんこうねん）氏は、統一戦線を狙い、自身を孫文の後継者と名乗る中共は、恥知らずの嘘つきだと指摘した。
辛氏によると、孫文が提唱した「民族、民権、民生」の三民主義は、中華民族の独立を主張し、あらゆる形式の専制に反対し、「均貧富（貧富を均一にする）」に反対していた。一方、中共はマルクス主義を提唱し、「無産階級は国家を必要としない」と鼓吹し、「社会主義公有制」を実現しようとしている。孫文と中共は、完全に対立した立場にある。
また、中華民国で独立して登録している党派は85、民間紙は500紙を超えた。国民は総統への不満をも公開することができる。しかし、中共は1949年に政権発足以来、9つの飾り物のような政党しかなく、民間紙に至っては1つもない。辛氏は、中共政権は実質上、中国の民主化運動に対する独裁体制の復古であると結論付けた。
辛氏は、「思想・歴史・政治・現実などを考慮すると、中共は孫文をどう見習おうと、孫文を支持し協力する者ではなく、なおさら孫文の後継者であるわけもない。中共はいずれ清国のように、他の『同盟会』によって滅亡させられるだろう」と考えている。
（翻訳編集・常夏）