中国の工場(High Contrast, CC BY 2.0 DE, via Wikimedia Commons)

 中国は現在、南部の一部の都市は夜になると真っ暗闇になるほど石炭不足に直面している。昨年、中国政府はオーストラリアの石炭に対して、非公式の禁輸措置を実施した。中国の火力発電所はすでにオーストラリアからの石炭を使うことに慣れており、すべての設備を交換し、オーストラリア以外の石炭に切り替えることはほぼ不可能である。

 ブルームバーグ9月27日の報道によると、中国のほぼ半分の地域が、北京政府が定めたエネルギー消費削減目標に達しておらず、電力使用減少という大きなプレッシャーに直面している。北京の苦境をさらに悪化させているのは、中国経済の3分の1を占める3つの主要工業都市である江蘇省、浙江省、広東省が電力供給停止に直面していることである。

 電力難が続くことは、間違いなく中国の不動産開発大手である恒大グループの倒産よりも深刻な問題である。アルミニウム製錬所から紡績業、大豆工場のような食品加工部門までも閉鎖せざるを得なくなった。

 江蘇省では、製鉄所が既に操業を停止し、一部の都市では街灯までも消されたという。浙江省でも紡績業を含む160の工業が閉鎖を余儀なくされた。

 中国の電力難は、最終的に中国で経営する多国籍企業の撤退を促すだろう。日経新聞によると、アップルとテスラのサプライヤーは先日、中国の一部の工場で生産を停止させられたという。

 また、多くの小企業が、産業活動の停止を余儀なくされていることに悲鳴を上げている。中国で工場を持つ多国籍企業も、産業活動の減少に影響を受けているかもしれない。人々の目に見えるのは、繊維製品から電子部品に至るまで、あらゆる製品に不足が生じており、サプライチェーンのプロセスにおけるいかなる中断も、企業の利益に損害をもたらしかねない。外資企業は中国から撤退し、他の場所に移転する選択に直面している。

(翻訳・吉原木子)