(一帯一路 Lommes, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)

 米国の政府関係者は、ラテンアメリカに向かってインフラプロジェクトを考査し、中国の「一帯一路」に対抗する準備をしていることが27日にわかった。

 ロイター通信27日の報道によると、国家安全保障担当の大統領副補佐官を務めるダリープ・シン氏が率いる外交・開発関係者の代表団は先週、インフラプロジェクトを考査するためにラテンアメリカを訪れた。代表団は現在コロンビアに滞在しており、コロンビアのイバン・ドゥケ大統領と会談した後、週明けにエクアドルとパナマに移動する予定。

 米国の代表団の任務は、6月に終了したG7サミットで日本、米国、英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリアの首脳が提唱した「Build Back Better World(B3W、意訳:より良い世界を再建する )」を実現することである。習近平政権の「一帯一路」プロジェクトに対抗して発展途上国への援助を図ることである。

 このインフラプロジェクトは、中低所得国において、今後数年間で数百億ドル規模の持続可能で価値あるインフラ投資を約束するものである。バイデン大統領は、この構想を発表する際に、同プログラムが発展途上国における40兆ドル規模のインフラ開発プロジェクトの資金需要を軽減するのに役立つと強調した。

 6月13日に英コーンウォールで行われた記者会見で、バイデン氏は「中国は『一帯一路』構想を打ち出している。しかし、世界各国のニーズに応えるために、もっと公平な方法があると我々が考えている」と述べた。

 「一帯一路」計画は、低所得の発展途上国に対して、道路から港湾までの大規模なインフラ整備のための融資を行うものである。しかし、低所得国の中には、債務を返済できずに危機に陥った国もある。そのため、「一帯一路」計画は「債務の罠」と呼ばれている。

 中国の商業ローンがアフリカ諸国の債務リスクを高めているという調査結果もある。米国のシンクタンクである世界開発センター(CGD)が発表した調査によると、中国の発展途上国向け商業融資は、世界銀行の融資に比べて返済期間や猶予期間が短く、金利は高い。発展途上国が借金を返済できなくなると、土地や港、鉱山などの国有資源を中国に担保として提供しなければならない。

(翻訳・徳永木里子)