自民党総裁選は9月29日、岸田文雄前政調会長(64)が河野太郎行革相(58)を破って第27代総裁に選出された。自民党が衆参両院で過半数の議席を占めていることから、10月4日の首相指名選挙では、岸田氏が第100代首相に選出される見込み。
台湾の淡江(たんこう)大学日本政治経済研究所の蔡錫勳(しゃくくん)所長は、岸田氏の勝利が、高市早苗氏と組んだ戦術によるものであると同時に、河野氏の政策がスムーズすぎて個人的な特徴が失われていることによるものだと考えている。
蔡氏によると、日本の政治で次に注目すべき点は3つあるという。
1つ目は、新内閣での高市氏の役割。一番いいのは、初の女性副総理が誕生してもよいのではないか。仮に副総理にならなくても、高市氏は重要なポジションにいるはずだ。高市氏の思想は保守的で、特に安全保障と外交の分野で最も顕著である。そのため、もし同氏が新内閣に入って、外交・安全保障を担当すれば、今後、北東アジアの状況は大きく変わるだろう。
2つ目は、岸田氏の選挙戦で示した価値観が高市氏に近い。岸田氏は選挙公約で、自由で開かれたインド太平洋の国際秩序を強化し、普遍的な価値を共有する国や地域と協力すると明らかにした。では、これらの問題で岸田氏は高市氏と手を組むのだろうか。
3つ目は、10月4日の首相指名選挙後、岸田氏が今後の政策を説明するための「所信表明演説」を行うことである。岸田氏が選挙戦で語った政策は、台湾海峡の問題、台湾と協力したいことにも言及していた。一度決めたポリシーは変更されにくいものである。したがって、10月4日の首相指名選挙後の演説では、岸田氏がそれをどのような形で表現するのかに、我々は関心を持つべきである。
米英豪3カ国の新たな安全保障協力の枠組み「AUKUS」(オーカス)に加入することに対し、「非核三原則」を守る日本にとって、オーストラリアのように原子力潜水艦を導入することは、国民への影響が大きすぎるため、日本政府は当面参加しないと、蔡氏は推測している。
(翻訳・徳永木里子)