米国下院は23日、2022年会計年度の国防権限法案(NDAA)を可決した。同法案では、中国や台湾に関わる条項が多く含まれており、注目が集まっている。
ボイス・オブ・アメリカの報道によると、同法案は、米軍が軍事面での技術的優位性を固め、グローバルに中国共産党(以下、中共)に対抗するための十分な資金を提供することを目的としている。また、中共が新疆ウイグル自治区のウイグル人をはじめとする他の少数民族や宗教団体に対して犯したジェノサイドを正式に認定する修正案が含まれている。
さらに、2022北京冬季オリンピックの外交的ボイコットの規定も含まれている。政府関係者は国防権限法で支出した資金を公務として使って、北京冬季オリンピックに参加することが明確に禁止されている。
台湾関連の条項では、2022年環太平洋合同演習(RIMPAC、リムパック)への台湾の参加招請、米台間の軍隊協力の強化、台湾の自衛力強化への支援などが中心となっている。「台湾関係法」と6つの保証が米台関係の礎であることが再び強調された。
時事評論家の藍述氏は「希望之声」のインタビューで、「今回の国防権限法案の可決は、上下両院の議会指導者たちが、中共からの脅威を明確に認識している結果であり、当初の国防予算を承認しただけでなく、200億米ドル(約2.21兆円)以上の増額を実現したものであり、これは稀なことである。基本的には、両党の議員が、政治・経済・軍事・外交・科学・技術などのあらゆる分野で、中共からの脅威を真剣に受け止め始め、この脅威に対抗するための投資を増やす行動をとっていることを示している」と述べた。
藍氏はまた、同法案の影響は法案自体をはるかに超え、より多くの米ハイテク企業が中国とのデカップリングを加速させるものであると述べた。
リムパックへの台湾の参加招請について、中華民国国防安全研究院の蘇紫雲氏(資源と産業研究所所長)は、「短期的には楽観的になれるが、第一にそれは議会の意見であること、第二に台湾がリムパック演習に参加しなくても、実際には米台の軍事協力や安全保障協力は深まっていくだろうから、過度の期待は禁物だ」と考えている。
蘇氏は、今回の国防権限法案は中共に対する包囲網の役割を果たし、中共の要害に的中し、正鵠を射る(せいこくをいる)ことができると考えている。
(翻訳・徳永木里子)