2021年ドイツ連邦選挙の結果は27日早朝に発表され、中道左派の社会民主党(SPD)が与党の中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)に僅差で勝った。これは16年間続いた「メルケル時代」の終焉を意味する。
ドイツ選挙管理委員会のウェブサイトに掲載された数字によると、社会民主党は25.7%の得票率で、得票率24.1%のメルケル首相の保守派(キリスト教民主・社会同盟)を僅差で破った。緑の党(Green)の得票率は14.8%で3位となった。
社会民主党の首相候補であるオラフ・ショルツ氏は、選挙本部で応援する支持者を前に勝利を宣言したが、社会民主党が半数以上の得票を得られなかったため、連立政権を組む必要があり、クリスマス前に連立協定を結ぶことを目標としていると述べた。
「メルケル時代」の終焉を迎えようとしている今、ドイツと中国の関係がどのように変化していくのかが注目されている。メルケル首相の時代、ドイツの経済は中国市場に過度に依存し、2016年以降、中国は米国を追い越してドイツの最大の貿易パートナーとなり、両国上層部の往来が頻繁に行われている。メルケル首相は、任期中に12回も中国を訪問しており、西側諸国の指導者が中国を訪問した回数としては最も多い。
中国と欧米の新たな冷戦の勢いが明らかになるとともに、米中経済のデカップリングを求める声も益々高まっている今、ドイツが経済的には依然として中国市場に依存し続けている。これはメルケル首相が残した政治的な遺産なのか、それともドイツ経済の将来にとって巨大な時限爆弾なのかは、今後明らかになっていくだろう。
ドイツキリスト教民主同盟ベルリン支部のステファン・エバーズ(Stefan Evers)事務総長はBBCの中国語によるインタビューで、「中独関係は緊密で複雑である。一方では経済的パートナー、他方ではドイツはしばしば中国の人権問題を批判している。牧師の家庭に生まれ、東ドイツ共産党の下で育ったメルケル首相は、その生い立ちが施政や人権問題に対する姿勢に影響を与えている」と述べた。
近年、メルケル首相は産業界の代表を率いて訪中する際には、人権派弁護士など中国の市民社会の代表も同時に接見している。これらの動きは、メルケル首相が民主主義の価値と経済的利益のバランスを取ろうとしているのではないかと、外部に見られている。 特に、メルケル首相率いるドイツ政府は、香港の情勢悪化やウイグル人への迫害などについて、他の欧米諸国が中国に対して行っている制裁や非難を行うのに比べて、比較的目立たないようにしている。
BBCは、「メルケル首相が、新型コロナウイルスの流行に伴う経済回復、気候変動、米国・中国共産党の間での欧州の地政学的役割の再構築など、EUが多くの大きな課題に直面している時期に退任することになる。欧州、米国、中国の三角関係の中で、ドイツは極めて重要な位置を占めている」と指摘した。
EUは三者鼎立(さんしゃていりつ)の局面を求めており、EUのリーダーであるドイツはその中でどのような役割を果たすことができるのかは、後継者の統治理念と知恵が試されることになるだろう。
(翻訳・吉原木子)