2019年10月8日記者会見中の林鄭月蛾(イメージ:看中国 YouTube スクリーンショット)

 中国共産党(以下、中共)はこのほど、香港の主要な大手不動産開発業者(デベロッパー)に対して、住宅不足への対応を求め非公開に召喚して調査を始めた。これに対し、香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官はコメントすることを拒否した。

 中国メディア「財新網」22日の報道によると、21日の行政会議の前に、香港の林鄭行政長官は記者団から、「香港の住宅問題を解決するために、中共が香港の不動産開発業者に資源を投入するよう要請している」ことについて質問されたが、「その発言を検証できないので回答できない」と答えたという。しかし、林鄭氏は「土地開発業者は私有地を持っているが、香港特別行政区政府は必要に応じ、公営住宅開発のために、土地開発業者が持っている私有地を回収するという公権力を行使することもできる。長年にわたり市民が悩まされている住宅問題を解決し、今後もそうしていく」と述べた。

 また、選挙制度が改善された後、このような協力関係はより効果的になると期待しているという。

 香港メディア「明報」は24日に社説を発表し、「香港の土地・住宅問題を解決するために、不動産開発業者は間違いなくもっと積極的な役割を果たすことができる。政府の土地共有計画にもっと参加し、政府が暫定的な住宅を建設するために土地を無料で貸し出し、政府の土地回収要求に積極的に協力する。それは何も難しいことではないはずだ」と指摘した。

 ロイター通信17日の報道で、中共が香港の不動産開発業者をターゲットにしているのは、中共の香港支配とその利益を維持するために、香港の不動産開発業者の政治的影響力を低下させようとしているのではないかと指摘した。

 今年3月に中共全国人民代表大会(全人代)で議決された「香港の選挙制度改善に関する決定」では、行政長官の選出方法や「選挙管理委員会」に「中国と香港を愛する団体」の議席を多く設けるなど、香港の経済界、特に不動産開発業者の影響力を弱めるための試みだと考えられる。

(翻訳・徳永木里子)