北朝鮮は28日午前6時40分頃、北部の慈江道・舞坪里(チャガンド・ムピョンリ)から日本海側に向けて、ロシアなどが力を入れている「極超音速」の「火星(ファソン)8」を発射した。
フォックスニュースの報道によると、同国の国連常任代表が国連総会で演説を行っている最中に、短距離弾道ミサイルを日本海に向けて発射したという。米国務省は、この発射を非難する声明を発表した。
声明では、「米国は北朝鮮のミサイル発射を非難する。このようなミサイルの発射は、複数の国連安全保障理事会決議に違反しており、北朝鮮の近隣諸国と国際社会に脅威を与えている。我々は依然として外交的手段を講じて北朝鮮に対応し、対話を呼びかける」と述べた。
菅首相は、日本政府が発射の詳細について調査を強化し、北朝鮮への監視を強化したことを明らかにした。「不測の事態に備えて万全の体制を整え、警戒監視を強める」
米国・アジア問題専門家の章家敦(しょう・かとん)氏はフォックスニュースのインタビューで、「今回のミサイル発射実験は、金正恩氏がバイデン氏を試している可能性がある。金正恩氏が発射したこれらのミサイルは、北朝鮮と韓国の内戦ではほとんど役に立たず、射程距離や高度も通常の弾道ミサイルほど高くはないからだ。金氏がバイデン氏に対して、朝鮮半島で内戦が起きても韓国を救済しないように警告・脅迫しようとしていると考えられる。中国共産党が北朝鮮を人質にして国際社会に圧力をかける可能性があるので、バイデン政権が北朝鮮問題に真剣に対処しなければならないよう促している」と語った。
北朝鮮は今月、ミサイル発射を繰り返しており、15日にも短距離弾道ミサイルを発射していた。今回の発射は今月5発目になる。
極超音速(ハイパーソニック)ミサイルは音速の数倍で飛翔し、迎撃が困難だとされる。この兵器が一躍有名になったのは2018年。ロシアのプーチン大統領が「アバンガルド」の発射実験成功をアピールしたことで世界に緊張が走った。アバンガルドの速度はマッハ27に達したとも報じられた。
(翻訳・吉原木子)