タジェンダット氏(Chris McAndrew, CC BY 3.0 , via Wikimedia Commons)

 英国保守党議員で、下院外交特別委員会委員長を務めるトマス・タジェンダット氏は9月27日、『タイムズ』紙に寄稿した文章で、英学術機関の中国依存への懸念を示した。

 英国の各大学・大学院の中国人学生数は今年で過去最多となり、一部の大学・大学院の年間収入の約1/4が中国から来ているという。

 タジェンダット氏の率いる「中国研究グループ」は、先進的な学術機関による中国への資金依存に対する懸念が高まっているとし、すべての研究パートナーシップと資金提供を審査し、やり取りを記録するよう呼びかけた。

 タジェンダット氏は、「英国の大学は、高度の戦略的価値を持つ航空宇宙工学、生命科学、ナノテクノロジー、情報通信技術などの分野において、中国の大学や企業と多くの提携協定を結んでいる。また、これらの大学は北京が支持する中国企業から毎年数千万ポンドの援助を受け取っている」と指摘した。

 同氏はまた、「問題点は英中関係に信頼性が欠如していることである」とし、「習近平氏がより集権的で、自信のある、経済的脅迫手段を喜んで利用する国家を作り上げていることが明らかになってきた。習氏の野心を考慮すれば、英国は中国に対する立場を早急に位置づけし、北京との交流やパートナーシップが英国の国家利益に合致するかどうかを見直さなければならない。各学術機関が中国への過度な依存から脱却することは良いきっかけになるだろう」と述べた。

 英国高等教育統計局の統計によると、2012-2013年から、英国で高等教育を受ける中国学生の数は毎年、EU加盟国からの学生の合計を上回り、その差は年々大きくなっている。ここ10年で、中国の学生はすでに英国学術機関の留学生において一番大きい割合を占めているという。

 中国公式データによると、今年5月までに、約21万6000人の中国人学生が英国の各学術機関で勉強しているという。

(翻訳・吉原木子)