2012年2月14日、米国のバイデン副大統領(当時)はホワイトハウスで習近平副主席(当時)と会談した。(中国駐米国大使館ホームページより)

 米国のバイデン大統領と中国の習近平国家主席は21日、国連総会で演説を行った。米中が対立した後に行われた両首脳の演説には深い意味が含まれていると、アナリストが分析した。

 台湾の淡江(たんこう)大学国際研究学部の鄭欽模学部長は、習氏がビデオ形式でしか国連総会に出席できなかったことは、中国共産党(以下、中共)内の政治闘争が依然として激しく、外部環境も楽観できないことを浮き彫りにしたと考えている。

 第20回党大会が近づくにつれ、3期目の政権獲得を最優先課題とする習氏は、内部の政敵が政治・経済・外交の状況を利用して仕掛けてくることに対処する必要がある。

 時事評論家の藍(らん)述氏によると、中国国内事情の影響を受け、習氏の国連総会での演説は始終戦狼的な話し方が表れず、基本的には協力を強調していた。この点から、中共が冷静になって米国と協力したいと考えていることが垣間見える。その主な原因は中共が不動産など国内での一連の問題に直面しており、追い込まれている状況にある。つまり、中共はまだ裏表のあるやり方を弄している。米国の左派が中共政権に幻想を抱いていることを利用しつつ、世界に進出するための時間と機会を稼ぎ続けている。

 米国は、アフガニスタンの戦争から抜け出したばかりである。国連総会でこの議題について、バイデン氏は「米国は戻ってきた。過去の戦争を続けるつもりはない」と述べた。

 バイデン氏は、アフガニスタンからの撤退を正当化するために提案した、戦略の焦点を中国とロシアに移すという立場を継続せず、中共を名指しせずに「米国は冷戦を求めていない」と語った。

 鄭氏はバイデン政権は確かに北京との冷戦を求めるつもりはないと分析した。鄭氏は「米国の積極的な戦争準備は、戦争を止めるためである。つまり、東シナ海、台湾海峡、南シナ海、インド太平洋地域における米国の一連の行動と軍事演習は、中国の戦争代価を上げるためのものであり、基本的には戦争を止めるためのものだ。バイデン氏が率先して戦争を起こそうとするとは思わない」と述べた。

(翻訳・徳永木里子)