ローマのFAOの本部(Scopritore, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons)

 国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新の統計データによると、全世界で毎年、人間が消費する食料の30%以上が損失、あるいは浪費されている。その中でも、中国と米国は世界で最も食料を浪費している国であるという。

 多くの国際学者が7月、『ネイチャー』誌に発表した研究報告によると、中国で毎年生産された食糧の27%が浪費されており、そのうち45%が収穫後の処理と貯蔵によるもので、他には外食による浪費の比率も大きいという。

 国連の「国際農業開発基金」(IFAD)中国駐在代表のマテオ氏は、「中国社会科学院が発表した数値によると、2016年の1年間だけで、中国が浪費した食糧は1,700~1,800万トンにまで達し、これらの食糧は3千万~ 5千万人を養うのにも十分だ」と述べた。

 中国共産党当局は今年4月に、暴飲暴食や競争的な飲食、過剰な食べ残しを禁止する法律を公布した。しかし、北京の公共政策学者である賈平(かへい)氏によると、中国人はメンツや見栄えを大事とする食習慣があるため、(多くは公費で)大いに飲み食いする風潮は依然として残っているという。また、消費格差と非市場経済に加えて、中国の貧困層と中下位所得層は依然として大きな影響を受けており、同時に浪費の形成を促進したという。

 一方、非営利団体ReFEDのデータによると、米国ではGDPの2%、4,080億ドルに相当する食糧や食料品が、販売されておらず、全く食べられていない状態で廃棄されている。浪費された食糧の大部分は、そのまま捨てられたり、焼却されたり、下水管に流されたり、畑に放置されたりして処分されたという。

 ストックホルム国際水研究所のヤン・ルンドクヴィスト(Jan Lundqvist)教授によると、供給過剰、暴飲暴食の食習慣が、米国の食糧浪費問題における主な課題であるという。

 ボイス・オブ・アメリカの報道によると、食糧安全保障の専門家は、食糧の損失と浪費が社会、経済、環境に深刻な影響を及ぼし、金銭の浪費だけでなく、労働力、水資源、エネルギー、天然資源の浪費にもつながっていると指摘した。世界で毎年廃棄される食料の価値は2兆6万億ドルに達し、これは世界で毎年8億人以上の飢えている人々が必要とする食糧価値の4倍に達している。そのため、国際社会はこの問題を深刻に受け止めなければならない。米国と中国は、食糧浪費を減らす義務があるという。

(翻訳・Eira)