台湾の果物カスタードアップル(陳良道CC BY-NC-SA 2.0 via flickr

 中国共産党(中共)の税関総署は18日、台湾から中国に輸出されている2種類の果物について、 害虫が検出されたとして、20日から輸入を停止すると発表した。今年3月に台湾産パイナップルも同様の理由で禁輸としている。今回の決定をめぐっても、台湾側の反発を招いた。

 中華民国行政院農業委員会の陳吉中主任(農林水産相に相當)は19日午後の記者会見を開き、「午前10時に中共税関総署から、今年に入って台湾から中国に輸出されたバンレイシとレンブから何度も害虫 『コナカイガラムシ』が検出されたため、20日から輸入を停止する」という通知が届いたことを明らかにした。

 陳氏は、国際的な規範は改善の通知と技術的対話によって対処することであり、禁止という形で対処すべきではないと述べ、中国側の措置は科学的な証拠に欠け、国際的な貿易ルールに合っていないとした指摘した。今年3月からのパイナップルの輸入停止措置に続く中国政府の政治的な嫌がらせだとして反発を強めている。同氏は、蔡英文総統と蘇貞昌行政院長(首相に相当)に報告した後、予防検査局にも、中共側に抗議の意を示す回答を直ちにするよう指示した。

 台湾から輸出されるシャカトウとレンブの9割以上が中国向けで、農業委員会によりると、中国側からことし6月までに不合格との指摘が複数回あったため対策を強化し、その後は不合格の知らせはなかったということ。農業委員会は農民の権利を守るために10億台湾ドル(約40億円)を出すことを決定した。

 同通知を受けて、民進党立法委員である王定宇氏は「これはビジネスを通じて政治を強要する中共の常套手段であることや、中共が国際ルールを守らない『トラブルメーカー』であることを再び証明している。中共が政治的目的のために経済に介入するやり方は、台湾だけでなく、かつてアメリカ、オーストラリア、リトアニアなどにも行われていた」と非難した。

 台湾政府は、農家のリスク分散や損失軽減を支援するだけでなく、今月中に中国側から前向きな対応がなければWTO(世界貿易機関)を通じた解決も辞さないと王氏は考えている。オーストラリアは中共を相手にワイン事件をWTOに提訴した今、台湾は国際経済貿易秩序と国益を守るために同じ行動を取るしかないとのこと。

(翻訳・徳永木里子)