(イメージ:Wikimedia Foundation CC BY-SA 3.0

 ウィキペディアを管理するウィキメディア財団は、ユーザーの身の安全が脅かされたとして、「前例のない」措置を取った。中国国内の利用者7人を永久にブロックし、他12人の管理者の権限を取り消した。

 ウィキメディア財団のマギー・デニス副会長は14日声明で、「一部の利用者は権限を得るために、意図的にコミュニティを抱き込もうとした。しかし、彼らの最終目的は、ウィキメディア財団の『オープン・ナレッジ』の理念に反する。我々は、信用してくれている利用者の一部が外部団体に脅迫され、利用されていることを把握した」と述べた。同時に、外部団体がウィキペディアのシステムに浸透して、個人を特定できる情報にアクセスし、管理者の選出に影響力を行使しているというセキュリティリスクを認めた。

 「香港自由新聞(HKFP)」7月の報道によると、2019年-2020年香港民主化デモ(反送中)が発生したことを受けて、ウィキペディア上で、香港政治に関する敏感な記事をめぐる「編集合戦」が繰り広げられた。中国本土の一部の編集者は、情報提供と記述・表現方法をめぐって香港側の編集者に対して、香港の警察当局に通報すると脅迫した。

 当時、ウィキペディアのデモ関連の記述ページは1日に65回も編集された。香港デモの参加者を「抗議者」か、それとも「暴徒」と表現すべきかをめぐって双方が争った。

 また、中国国内、香港、台湾の利用者が管理者権限を争っていた。ウィキペディアは、利用者と接触する機会が多く、編集権限がより大きい管理者の選出活動を行っている。過去には、中国国内の利用者が、中国人管理者の当選を確保するために、ウィキペディア外で投票を集め、不正を働いたと報じられた。香港の利用者はこれらの中国人管理者に不安を感じている。

 デニス氏は、今後公平に管理者を選出するための公開会合を行う予定だと述べた。

(翻訳・藍彧)