2017年1月20日、トランプ氏の大統領就任パレードでのミリー氏とトランプ氏(Public domain via Wikimedia Commons)

 トランプ政権後期で、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長が、トランプ大統領が中国に戦争を仕掛ける恐れがあると心配し、中共中央軍事委員会連合参謀部の李作成・参謀長に対して、2回も非公式ルートで連絡していたことがわかりました。 これに対し、トランプ氏は声明で、中国を攻撃しようと考えたことはないと、戦争について全否定しました。

 ワシントンポスト紙などが14日、記者のボブ・ウッドワード氏とロバート・コスタ氏が200人もの関係者を取材してまとめた来週発売予定の新著「Peril(危険)」の内容として報じました。

 複数の米メディアの報道によると、同本の中で、当時、米情報機関は、「中共は米国の攻撃が迫っていると考えている」と結論づけた中で、 ミリー氏は大統領選挙前の10月30日と議事堂襲撃事件から2日後の1月8日、中国軍の李作成・参謀長に非公式ルートで、電話で軍事について連絡したとされています。

 1回目の電話で、ミリー氏は「李将軍、私はあなたに保障する。米国は冷静で、すべてが順調に進められる」「我々は攻撃するつもりはなく、いかなる軍事行動も起こさない」と話しました。2回目の電話で、ミリー氏は「すべて正常だ。民主制度のため、時には少し混乱が引き起こされる」と話しました。

 ワシントンポストによると、2回目の電話をすることになった一因に、ペロシ下院議長との電話があったようです。ペロシ氏は電話で、トランプ氏が核攻撃を開始するのを防ぐための万全の措置を講じるようミリー氏に頼み、「彼が正常でないと知っているでしょう」と発言しました。ミリー氏は「あなたの言うことに全面的に同意する」と答えたといいます。

 また、同本の中で、大統領選で流れがトランプ大統領に不利になったときにも、ミリー氏は自分の側近たちに、トランプ氏が命令を下した場合、特に核戦力の使用についてはすぐに従わないと話していたとされています。

 中国を攻撃する報道について、トランプ氏は声明の中で、「私は中国を攻撃しようと考えたことすらないし、中国もそれを知っている。この話を捏造した人たちは病気で頭がおかしくなっているし、それを掲載する人たちも同じくらい悪い。実際、ここ数十年でアメリカを戦争に巻き込まなかった大統領は私だけだ」と述べ、報道は「でっち上げだ」と批判しました。中国軍と連絡したことについて、「ミリー将軍の話が本当ならば、彼はアメリカ史上最悪のアフガン撤退を企てた失敗したリーダーである」と指摘し、また「彼が大統領に隠れて中国と取引し、中国に『攻撃の通知』をすると言った点で、反逆罪で裁かれることになると思う」と述べました。

 共和党のマルコ・ルビオ連邦上院議員はバイデン氏宛ての書簡で、「軍高官が米国の軍事活動に関する機密情報をリークすることがもたらす危険については言わなくてもわかるはずだ」と述べ、ミリー氏を直ちに更迭するよう要求しました。

(新時代Newsより転載)