FireEyeブース(トーマス・スプリンガー, CC0, via Wikimedia Commons)

 中国共産党(以下、中共)政府を支持しているソーシャルメディア上の偽情報活動は、少なくとも7つの言語による数十のソーシャルメディアプラットフォーム、ウェブサイト、オンライン・フォーラムに拡大しており、新型コロナウイルス(中共ウイルス、COVID-19)の起源について米国に責任を投げかけ、さらには米国での抗議活動に人々を動員しようとしていると、米国のサイバーセキュリティ会社「ファイア・アイ」が8日に報告書を発表して警告を出した。

 同報告書によると、この作戦は2019年に、香港の民主化運動を誹謗中傷するために、ツイッター、フェイスブック、グーグルで数百もの偽アカウントを使用していることが確認された。現在では、世界中の数十のウェブサイト、30のソーシャルメディアプラットフォーム、その他40以上のウェブサイトやオンラインフォーラムで数千人のユーザーに拡大され、日本語、ロシア語、ドイツ語、スペイン語、韓国語などの言語を使って、活動を行っているという。

 同報告書はまた、2019年半ばから、アカウントのプロフィール写真に人工的に作成された写真を使用したり、時事問題に関連する多種多様な偽情報を宣伝したりするなど、その戦術にいくつかの変化があったことを指摘している。そのうち、新型コロナウイルスに関する偽情報は、この活動の主要な焦点となっている。例えば、ロシア語、ドイツ語、スペイン語などのSNSでは、新型コロナウイルスは中国よりも前に、すでに米国で出現し、米軍が開発したものだと主張するアカウントが存在する。

 研究者によると、新型コロナウイルスに関する偽情報を拡散するだけでなく、アジア系アメリカ人に4月24日にニューヨークで抗議活動を行うよう呼びかけるなど、米国内の人種差別に反対するデモの開催を促す投稿もあったという。

 ロイター通信の報道によると、YouTubeは、このプロパガンダ活動に関連するチャンネルを毎月約1,000個削除している。一方、これらの動画の高解像度化や字幕の充実など、制作の質も向上しており、長期的な投資を行っていることが伺える。

 ファイア・アイ社の情報分析の責任者ジョン・ハルトクイスト氏は、これらのアカウントが現地のフォロワーを惹きつけることにはまだ成功していないが、(中共による)これらのリソースを投入することで技術が向上し、より説得力のある偽情報が拡散されるのではないかと懸念していると述べた。

(翻訳・吉原木子)