中国湖北省黄岡市でリン酸石膏を保管している倉庫が漏洩し、付近と長江の水質が汚染され、総リン濃度は基準値の3474倍を超えたことがわかった。雨が降ると倉庫から2.5キロ離れた長江付近で、白濁した水「牛乳水」が湧き出し、地元の住民から不満の声が上がっている。
現地を視察した中央第三生態環境保護監督チームの調査によると、資源利用が不十分なため、湖北省のリン化学企業では、固形廃棄物であるリン石膏の年間蓄積量が全国最大であり、昨年末までに2億9600万トンに達していた。
湖北省のリン酸石膏の保管場所は37カ所に達しており、そのうち18カ所は長江や漢江(長江最大の支流)から5キロ未満に位置する。最も近いところは長江から50メートルしか離れていない。大量に蓄積されたリン酸石膏は、長江の水環境の安全に大きなリスクをもたらしている。
リン酸石膏は、未分解のリン鉱石や遊離リン酸、フッ化物などの不純物を含む産業廃棄物であり、大量に放置されると環境安全リスクとなる。視察団が発見したリン酸石膏貯蔵倉庫は、サッカー場80面分に相当する800ムー以上の広さがあり、長江からはわずか2.5キロしか離れていない。
先日、検査員が漏洩現場に到着した際、水辺の植物に白い粉状のものが付着しており、まるで霜がかかったような状態。モニタリングの結果、大泉洞の水サンプルに含まれるアンモニア性窒素と全リンの濃度は、地表水カテゴリー3の基準をそれぞれ26.1倍と3,474倍も上回っていた。また、下流の東風港付近の水域では、瀕死状態の魚が多数発見され、中には死んだ魚もいた。さらに、500メートル下流の川の水をサンプリングしてモニタリングしたところ、アンモニア性窒素と全リンの濃度が表流水のクラスIIIの基準をそれぞれ10.7倍、574倍も上回っており、汚染が深刻であることがわかった。
これまで周辺の人々の生活や生産用水源だった大泉洞の泉が汚染され、「今まで洗濯や野菜洗い、灌漑に使っていたが、今は使えなくなった。雨が降ると『牛乳水』が湧き出る」と村人が明かした。
専門家によると、総リンの濃度が高すぎると水域の富栄養化が進み、魚が生きにくい環境になるという。 また、リンは人体に有害で、さまざまな皮膚の炎症や、嘔吐、下痢、頭痛、さらには中毒などのトラブルを引き起こすことがある。
(翻訳・藍彧)