(画像出典:CBP / US税関国境警備局)

 米国の税関・国境警備局(CBP)は今年に入ってから、強制労働の疑いがある数億ドルの膨大な量の商品を押収しており、その中でも中国新疆ウイグル自治区の強制労働製品が取締まりの主な対象となっていることが6日にわかった。

 米国メディアNBC6日の報道によると、CBPは、衣類からパーム油、トマト、ゴム手袋、地毛の製品まで、強制労働が関連していると疑われるさまざまな製品を押収している。これらの製品の多くは、包装上の原産国をベトナムと記載しているが、実際には新疆の強制労働によって収穫された綿花を使用したという合理的な疑いで押収された。

 CBPによると、今年度は今月まで、少なくとも967件、3.67億ドル(約405億円)以上の貨物を押収したという。これまでに押収された輸入貨物の75%は、新疆の綿花が使われた疑いで押収された。税関での最も重要な2つの大口押収は、新疆で生産された綿花に関連しており、これは過去5年間で同局が押収した最大の貨物注文でもある。

 新疆の強制労働製品を取締りの優先事項とする際、綿花の原産地を正確に判断することは困難であると、CBPは指摘した。審査を避けるために、一部の生産者は製造過程で新疆綿を他の地域の綿花と混ぜることが多く、大手アパレルブランドのサプライチェーンに入る前に、オフショア・アウトソーシングを利用することもあるという。

 非営利団体「労働者の権利コンソーシアム(WRC)」のエグゼクティブ・ディレクターであるスコット・ノヴァ氏は「この変化は非常に重要である。ブランド企業はこれまで、海外のサプライヤーの労働活動における法的責任を考慮したことはなかった。(取締り強化で)そうせざるを得ない状況になっている」と述べた。

 CBPの貿易救済執行局のエグゼクティブ・ディレクター、アナ・フェンネル氏は、「強制労働に関する取締りがますます影響を及ぼしており、より多くの措置を取ることで、人々は私たちがこの問題を真剣に受け止めていることを理解するだろう。今後も引き続き調査を行い、必要に応じて強制措置を取る」と述べた。

(翻訳・徳永木里子)