スリランカにあるシーギリヤロック(イメージ:Bernard Gagnon / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0)
世界には数多くの興味深い小国がある。山の頂上に建てられてものもあれば、海の中に佇むものもある。なかでもスリランカにある世界遺産・シーギリヤロックは天空の宮殿として有名だ。
シーギリヤロックはスリランカの中部州のマータレーにあり、古都シーギリヤの一部を構成する。オーストラリアのエアーズロックを彷彿させるオレンジ色の巨石の上には王宮の遺跡があり、当時の技術の高さがうかがい知れる。そのためシーギリヤロックは世界八番目の不思議として数えられている。また、シーギリヤロックはスリランカの「文化三角地帯(アヌラーダプラ、ポロンナルワ、キャンディの3都市を結ぶ三角地帯)」内の重要遺跡の一つでもある。
この巨大な岩の高さは200メートルあり、遠くからは平原にうずくまる獅子のようにも見える。岩の上には、約2ヘクタールの広さの宮殿跡がある。王の玉座や貯水池、宴会場、議事堂、寝殿などがあり、現代の基準で見ても大規模なプロジェクトだ。
貯水池は人工的に作られたもので、宮殿に必要な水を一年分溜めることができた。貯水池の水位が高すぎると庭園に流れ込み、大きさが異なる噴水となって見る者を楽しませる。
この空中の宮殿はシンハラ王朝の王子・カッサパ1世によって建てられたもので。カッサパ1世は父親を殺害し、弟を追放したが、クーデタを恐れたためシーギリヤに遷都した。そして18年の時を費やして完成させたのがシーギリヤロック頂上の宮殿だ。しかしカッサパ1世は弟との戦争に敗れて自害し、宮殿は修道院として14世紀頃まで使われた。
その後、19世紀にイギリスの猟師によって発見されるまで、宮殿は何世紀にもわたり忘れ去られていた。シーギリヤロックの壁面には500枚以上のカラフルな壁画があると言われているが、雨風による浸食と人為的な破壊により現在は22枚しか残っていない。
(翻訳・柳生和樹)