中国交通運輸部(日本の国土交通省に相当)は2日、インターネット情報弁公室、工業・情報技術部、公安部、市場監督管理総局と合同で、滴滴出行(ディディ)などのオンライン配車サービス大手11社を呼び出して指導したことを、公式ウィーチャット(微信、ウェイシン)で発表した。
発表では、一部の配車サービス企業が虚偽のマーケティング手法を用いたり、無免許の運転士や車両を勧誘したりして市場の秩序を乱していると述べた。中国共産党(以下、中共)の省レベルの規制当局が、配車サービス大手に指導したのは4ヵ月間で2回目となった。
5部門は1日に合同で、ディディ、T3出行、美団出行を含む配車サービス大手11社を指導し、年末までにコンプライアンス上の問題を解決するよう求めた。中共当局は11社に対し、ユーザー情報やデータの安全性を守ること、ユーザーの個人情報を本人の同意なしに第三者に提供しないことなど、5つの要件を提示した。各企業は、データセキュリティ管理システムを構築し、ユーザーデータ等の収集、送信、保管、処理において必要なセキュリティ技術および管理措置を講じる必要があるという。
ブルームバーグのコラムニストであるティム・カルパンは2日の評論記事で、アントグループ、北京字節跳動科技(バイトダンス)、ディディのここ数か月間のデータ規制管理遭遇は、中国でデータの生産、収集、保管、使用、販売に関わる組織や個人は、現状を真剣に検討すべきであり、データの国有化が差し迫っているとの見解を書いた。同記事では、データが中共の手に渡ることは、習近平氏のより広範囲な新「文化大革命」の一環であり、中共はコンテンツ、文化、資本、商業に対する支配力を強めることになると指摘した。
カルパン氏は、中共がアントグループのデータベースを保有したことは「前菜」に過ぎない。今後、ますます多くの民間企業のデータベースが中共の直接的または間接的な支配下に置かれることになる可能性を述べた。
(翻訳・徳永木里子)