中国河南省で7月に発生した洪水により、衛輝市(えいきし)全体が浸水し、60万人近くが被災した。これまで政府から被災給付金がもらえず、地元住民は抗議を行った。
ネット上に投稿された動画では、「洪水は無慈悲だが、人々は思いやりがある。政府は救いの手を差し伸べてくれないか?」「政府は衛輝市の被災した事業者に給付金を」などの大きな横断幕を掲げ、「党書記に会わせろ、市長に会わせろ!」と叫んでいる市民の様子が映っている。
衛輝市のある事業者は「8月27日、28日に市政府に行ったところ、市長に、数人の代表で信訪局(投書・陳情する政府機関)に陳情しに行くように言われたが、後で代表になった20~30人が手錠をかけられた。」と1日に明かした。「陳情した翌日、当局は被災したすべての事業者にそれぞれ1000元(約1.7万円)を支給したが、これは焼け石に水だった。私自身の損失でも約30万~40万元。衛輝市の洪水は避けることができたはずだったが、当局の指導力不足でこのような深刻な事態を招いた」と引き続き述べた。
同氏は市民の抗議について、「私はこれ以上問題を反映するつもりはない。無駄なことだ」と消極的な態度を見せた。地元住民は「何もない、一銭もない、今のところ何もない」と給付金を受けていないことを明かした。
河南省当局の公式発表によると、8月9日7時まで、7月の水害により、河南省で1664の村、合計1481.4万人が被災し、1620万畝(約1.08万平方キロメートル)の農作物が被害を受けた。53535世帯の164923軒の家屋が損害を受け、直接経済損失は1337.15億元(約14.7兆円)に達した。
河南省財政局と農業農村局が8月6日に共同で発表した農業補助金基準は、壊滅状態にある作物畑の植え替え・再植に1畝(ムー、約667平方メートル)あたり50元(約850円)の補助金を与えることになっている。しかし、これは現地の被災農家の反発を招いた。50元では種を買うのにすら足りないというのだ。
(翻訳・徳永木里子)