中国大手ミニブログサイトである新浪微博(シンランウェイボー)がこのほど、投稿内容の検閲を担当していた検閲員を解雇したことで話題となった。同検閲員は、シノファーム製ワクチンを接種した後に母親が死亡したことが捏造された話であり、投稿した女性ユーザーのアカウントを停止した上、告発した。その後、同ユーザーは新たにアカウントを作成し、母親の死亡証明書と火葬証明書の全文をネット上に掲載し、多くのネットユーザーから検閲員への批判を巻き起こした。
8月22日、 シンランウェイボーの「tomoちゃん」というアカウントは、3月26日にシノファーム製ワクチンを初めて接種した母親が、数日後に薬剤性皮膚炎を発症し、6月30日に死亡したと投稿した。また、投稿の中で、愛する人を失った悲しみや、治療に関するアドバイスをしてくれた人たちに感謝の意を表した。
この投稿が公開された直後、「tomoちゃん」のアカウントはブロックされた。同時に、検閲担当者「季浩洋」というアカウントは、「tomoちゃん」が「物語を捏造した疑いがあり、詐欺を働くためにアクセス数を稼ごうとした」と非難したメッセージを残した。
「季浩洋」は、「tomoちゃん」は国に悪影響を与えたという理由で拘留され、北京公安当局の捜査と証拠収集に協力していると主張し、「tomoちゃん」の母親は「今は通常通りに働いている」と述べた。
アカウントをブロックされたことに腹が立ったため、「tomoちゃん」は8月26日に新しいアカウントを作成して、母親の死亡証明書と火葬証明書を投稿した。しかし、「季浩洋」は「法律では、国を誹謗中傷する口実だけでは許されない。ワクチンには絶対に問題がないに決まっている」と強気の姿勢を崩さなかった。
検閲員がユーザーを告発した事件は、ネットユーザーの間で多くの不満を巻き起こした。特に、「tomoちゃん」がブロックされたことや、母親が本当に亡くなったことを証明したことで、怒りの書き込みや批判が殺到した。
「検閲員」制度は、シンランウェイボーが2017年から設立し、規則違反の投稿を告発するボランティアの一種である。彼らはプラットフォームに正式に雇用されているわけではなく、一定の業績要件を満たすことで、毎月現金で報酬を受け取ることができる。シンランウェイボーは2020年に2000人の「検閲員」を募集した。
シンランウェイボー検閲員の応募条件は、「シンランウェイボーのアカウントを1年間登録していること」、「告発した経験があること」、「規則違反を見分ける能力テストに合格していること」などである。
シンランウェイボーは固定給を支払わないが、テストに合格した人には200元(約3400円)の基本報酬が与えられる。テスト合格の基本条件は、有効な告発が月間500件に達し、かつ正解率が98%以上である。
さらに、毎月の有効な告発件数の上位100名の「検閲員」には追加の現金報酬が与えられるほか、成績優秀者には携帯電話やノートパソコンなどが贈られる。
ネットユーザーの中には「200元を見くびってはいけないよ!何年も前から検閲員に応募してもなれない人もいる」と述べた。報道によると、シンランウェイボーは2017年に776人が「検閲員」に合格し、合格率は4%だったという。2020年には、「検閲員」の総数は2000人にまで増えた。
「tomoちゃん」がブロックされたことで、ネットユーザーはシンランウェイボーの検閲員という立場に矛先を向けた。検閲員は自分のノルマを達成するために、恣意にユーザーの評価ポイントを差し引いていると、一部のユーザーは主張した。
(翻訳・徳永木里子)