世界貿易機関(WTO)は2日、米国の太陽電池の輸入を制限する措置に対する中国が提起した訴訟で、米国の主張を完全に認めました。
ロイターの報道によると、 WTOの3委員で形成されたチームは、中国の4つの主張をすべて退け、米国の輸入制限措置「アンチダンピング関税措置」と「相殺関税措置」は世界の貿易ルールに違反していないとの裁断を下しました。
この輸入制限措置は2018年、トランプ大統領によって導入され、主に中国製の太陽電池を対象にしています。導入された理由は、中国製の結晶シリコン型太陽電池の輸入量が増加し、米国の国内産業に深刻なダメージを与えていたため、2018年1月から4年間の追加関税などを実施しました。追加関税は初年30%から25、20、15%へと年々下がっていき、太陽光パネルや固定枠以外の太陽電池にも適用されます。同時期にトランプ政権は中国製の洗濯機に対しても同様の3年間の措置を実施していました。
今年1月、これらの措置をさらに2年間延長しました。
この追加関税について、当時の米政府は太陽光関連製品を生産する中国企業は「グローバル・サプライチェーン」を左右しようと、巨額の政府補助金などをてこに大量に輸出し、米企業に壊滅的な打撃を与えたと説明しました。
中国側はこれまで、輸入の増加と産業への悪影響との間の因果関係をワシントン州が立証していないなどと主張し、非難し続けていました。
その後、中国企業は米の追加関税を避けるため、工場を東南アジアに移転し、その製品を米国に輸入し続けていると疑われ、「中国の迂回策に対抗する米太陽電池メーカー団体(A-SMACC )」が8月16日、米政府に調査を求めて、請願書を出したと米VOAが8月31日に報じました。
米ブルームバーグのデータによると、昨年の米国の太陽電池部品輸入の大半は、次の3カ国からの輸入であり、マレーシアから24.6億ドル、ベトナムから23億ドル、タイから13億ドルで、他の国からの輸入は合わせても13.6億ドルにしかならないようです。
もし米政府が調査に乗り出し、中国側の不正を認定すれば、東南アジア製品についても追加関税をかけるだろうと専門家が推測しました。
(新時代Newsより転載)