元党委員会書記蔡莉(ネットより)

 新型コロナウイルス(中共ウイルス、COVID-19)流行の隠蔽に関わり、李文亮医師への圧力や、多数の医療・看護スタッフを感染・死亡させた武漢中心病院の蔡莉(さいり)元党委員会書記は、昨年8月に罷免されたが、現在は武漢市衛生健康委員会に異動・復帰したと噂されている。

 ウィーチャットのアカウント「i看見(アイカンジェン)」は、蔡莉氏は既に武漢市衛生健康委員会に異動して任職しているという信頼できる情報を得たと述べた。ほぼすべての人が蔡莉氏の情報について口を慎んでいるため、様々な工夫を凝らしてこの情報を聞き出したと明かした。

 武漢中心病院は新型コロナウイルスの感染者を最初に受け入れた病院の一つであり、医療スタッフの損失が最も大きかった病院でもある。公式の発表によると、約300人の医療スタッフが感染し、最初に感染を公表した李文良医師を含む6人の医師が死亡した。当時、武漢中心病院の党委員会書記であった蔡莉氏は、病院全体に「口を慎む」ように要求し、医師のマスク着用を禁止したため、大量の医療スタッフが感染した。

 現在、蔡莉氏は衛生健康委員会に務めており、おそらく職務を変えて幹部職を続けていると思われ、多くのネットユーザーを怒らせた。

 また、湖北省新型コロナウイルスの隠蔽と制御不能などの原因で、民間からの批判や国際的な非難を引き起こした。昨年2月、中国共産党当局から真っ先に解任された蒋超良(ショウ・チョウリョウ)湖北省党委書記と馬国強(バ・コクキョウ)武漢市党委書記に加え、王暁東(オウ・ギョウトウ)湖北省知事と周先旺(シュウ・センオウ)武漢市長も圧力を受けた。しかし、1年間半経った後、周先旺氏は湖北省政治協商会議副主席に、王暁東氏は全国政協商会議副主任に転任し、蒋超良氏はこのほど全人代農業・農村委員会副主任に、馬国強氏は湖北省人民代表大会常務委員会党組メンバーに任職している。

 政治評論家の鄭中原(テイ・チュウゲン)氏は、事実上、前述の4人を処分するという民間の声は、特定の政治的環境下にあったものだと考えている。病院、地方衛生健康部門、疾病予防管理部門から中央・国務院などの一級部門、そして、中国共産党の高層に至るまで、中国共産党による全体的な隠蔽体質が、パンデミックを引き起こした原因であると多くの人が知っている。下級役人を処分する場合、単なる責任を負わせることが多く、国民の不満が沸騰しているから処分するというのも、政権の安定性を維持するためという側面が大きい。したがって、この人たちが復帰したのは、何よりもまず、中国共産党の責任の取り方の文化によって決定されたものである。党は彼らが専制政治体制の安定化に貢献・功績とみなしており、彼らにとっては、一時的な「辛抱」に過ぎないのだ。

(翻訳・吉原木子)